「米国産石油の輸出制限」はあり得る

実際、多くの専門家からそうした見方が提示されている。

備蓄が最低水準まで低下したため、近未来に緊急時の放出をする余裕が失われ、クッションの役目を果たせなくなると見るのは、米コンサルティング会社ラピダンエナジーのボブ・マクナリー社長だ。

マクナリー氏は、「ホルムズ海峡で失われた供給分は、需要を減らして補うしかない」と語る。

ダラス連銀のロリー・ローガン総裁も、「世界は石油・天然ガスの消費を抑える方法を見つける必要に迫られる可能性がある」との見方を示している。

米投資ニュースサイトのマーケットウォッチは、「(輸出などで引き起こされた)米原油備蓄の急減が投資家やエコノミストの懸念を高めている」と報じた

また米CNNも「米原油備蓄が輸出目的で取り崩され、市場でも米国産原油の輸出が急増する中、米政府はインフレ制御のために原油の輸出制限あるいは禁輸という最終手段をとる可能性がある」と分析している。

米国産石油への依存は危険

ホルムズ海峡封鎖の影響で中東からの石油輸入が大きく減少した日本は、中東以外の国からの代替調達を進めてはいるが、やはり米国産石油に頼らざるを得ないのが現実だ。

先述のケプラーによれば、日本の米国産原油の調達量は、開戦前は輸入全体の約2%の日量23万バレル未満だったが、5月には過去最高の日量80万バレルへと急増。輸入全体の2割強を占める規模に達しているという。

イスタンブール海峡を航行中の石油タンカー
写真=iStock.com/ttart
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ちなみに、日本が輸入しているのは米国の戦略石油備蓄そのものではない。ENEOS、出光、コスモ石油などが米国産原油を輸入しているが、その買い付け先は米備蓄ではなく、一般の市場からだ。

たとえば、4月下旬に京葉シーバースに到着したマーシャル諸島船籍のタンカー「オーティス号」の積み荷は、コスモ石油の千葉製油所向けのテキサス産原油およそ91万バレルで、スポット市場で調達されたものだ。

中東産原油の供給がいつ不安定化しても不思議ではなくなった現在、米国産原油は日本にとって大変ありがたい代替調達先だ。しかし、ホルムズ海峡の再封鎖や紛争再燃のほか、さまざまな理由で「石油危機第二幕」が発生した場合、米国産石油の調達ができなくなることも想定しておくべきだ。