プレジデント動画シリーズ「リーダーの器」。第10回はオカムラの中村雅行社長です。無料会員登録で動画をご覧いただけます。ぜひご登録ください――。

27歳で部長に抜擢、部下は40代50代

オフィス家具の国内最大手、オカムラを率いる中村雅行社長。知人の勧めで採用面接を受けた時は岡村製作所という会社の存在を知らなかったといいます。「係長にもなれないようなら、他社でも成功しない。ある程度のところまでは我慢しよう」と入社したのが始まりでした。

転機は27歳。設計施工管理の部門でいきなり部長に抜擢されます。3人いた課長は40代、50代のベテランたち。給料は自分の2倍、3倍もあります。

「若造が上司なのかと思われる。一番苦労し、どうすれば人がついてきてくれるのかを学んだのはこの時期」と中村さんは振り返ります。

理屈や理論は当然必要。しかしそれだけでは人は動きません。

「最初は口も利いてもらえなかった。それで図面を引く隣に座って『これはどう書くんですか』『これはどうですか』と何度も聞いて、そうしているうちにだんだん教えてくれるようになる。これを2、3年くらいは続けましたかね」

けんもほろろだったベテランの社員たちと、そうやって打ち解けていったのです。

「『あいつの言うことはやりたくない』と思われた瞬間、もう何も進まなくなる。『あいつが言うなら、やるか』。そう思ってもらえる人間でなければ」

「初の赤字社長になる」という恐怖

その後、社長に上り詰めた中村さんを襲った最大の試練が、2020年のコロナ禍でした。オフィス需要が一気に蒸発し、業界に激震が走ります。頭をよぎったのは「創業以来、初めて赤字を出した社長になるかもしれない」という恐怖でした。

「創業者は赤字を出したら会社はつぶれるといつも言っていました。創業社長の時代には、週休二日のところ、赤字になりそうなら土曜出勤に切り替えてでも黒字を守るということもあったほどです」

今でもオカムラには「2年連続で赤字を出した部門長は交代」という不文律があるといいます。そんな文化が脈々と受け継がれてきた会社です。その重圧と向き合いながら、中村さんが選んだのは「悪いところを思い切って直す」道でした。「危機とは、平時には変えられない仕組みを変えるチャンス。普段はできない改革を、危機の時にこそ進めるべきなんです」