店内仕込みへの切り替えでさらに品質向上
ただ、手づくり厨房を活用するばかりではなく、店内仕込みに切り替えることでさらなる商品の磨き込みを図ってもいるそうだ。
例えば鳥メロの名物商品「清流若どり もも一本焼き」はこれまで、仕込み後の冷凍品を配送し、店舗で解凍していたが、チルドで配送された肉を店舗でカット、味付けする工程に変更した。解凍工程がなくなったことで品質が向上したほか、店舗仕込みなので、出来たてのおいしさを客に感じてもらうことができる。
「商品開発においては私も必ず試食を行い、意見します。改善をお願いすることもしばしばあります」
確かに、おいしくなければ客は来ない。コストダウンも図りながら、あくまでもおいしさの追求に焦点を置いていることが、価格と品質の絶妙なバランスを維持しているのだろう。
さて、その鳥メロの新店舗オープンのニュースは、約6年ぶりということもあり、飲食業界内で注目を集めた。というのもワタミでは2009年に遠のく客足を引き止めるために激安戦略をとり、2012年からはリブランディングとして客単価を上げた施策を実施したものの、客数が伸びず100店舗以上の閉店を招いてしまった経緯がある。
出店ありきでなく、利益の出る立地を厳選
その後のコロナ禍でも居酒屋業態がダメージを受けたため、ワタミも焼肉や唐揚げの業態を増やすなど、方向転換を行ってきた。
この度の鳥メロの新店舗オープンで、その流れが変わるのでは、と期待されたのだ。
渡邉氏には、再び低価格戦略や居酒屋に力を入れていく方針があるのだろうか。
「私自身、今後の日本経済や消費環境については悲観的に見ています。だからこそ、新規出店については、将来、売り上げが2〜3割減少したとしても利益を確保できるような立地を厳選して出店しています。今後出店を予定している地域の店舗についても、いずれも損益分岐点の低い立地を選定しています。その意味では、現在の外食事業の出店戦略は非常に保守的です。以前のように、出店ありきで拡大を目指すのでなく、収益性や将来性を十分に見極めた上で出店を判断しています。無理な出店計画は持たず、一店舗一店舗を着実に成功させることを重視しています」

