ワタミの居酒屋「鳥メロ」の新店舗が3月末、約6年ぶりにオープンした。かつて激安戦略で100店舗以上の閉店ラッシュに追い込まれた苦い経験がありながら、なぜ今、低価格を売りにした新規出店に踏み切ったのか。ワタミ会長 兼 社長CEOの渡邉美樹氏に取材した――。(前編)
1959年生まれの66歳。自社商品の試食が続いてもスリムな体型を保っているのは、野菜多めの食生活、腹八分、運動習慣などの賜物だ
撮影=西田香織
1959年生まれの66歳。自社商品の試食が続いてもスリムな体型を保っているのは、野菜多めの食生活、腹八分、運動習慣などの賜物だ

150店舗→99店舗となった「鳥メロ」

秘伝の焼き鳥や串揚げが1本80円〜、生ビール中ジョッキが199円……。

低価格メニューで人気の「鳥メロ」が、5年9カ月ぶりの新店舗となる立川駅南口店(東京都立川市)を3月31日にオープンした。

「鳥メロ」外観。写真はJR川崎東口店
写真提供=ワタミ
「鳥メロ」外観。写真はJR川崎東口店

運営するワタミは総合居酒屋一本から転身を図り、宅食、農業など多角化を図ってきた。またコロナ禍で居酒屋業態が苦戦。鳥メロも一時期の150店舗から大きく店舗数を減らし、現在は99店舗。

グループ売り上げ932億円のうち4割以上を宅食事業が占めるほか、焼肉や先般M&Aを行ったサブウェイなど、国内外食分野でも多角化の動きが目立っている。

しかしここにきて新店舗を出店したということは、また居酒屋業態、しかも低価格戦略で勝負に出ているということだろうか。

「居酒屋で宴会」需要はまだまだある

5月に発表されたワタミの2026年3月期の決算では、国内外食事業は前年比109%の376億6000万円と増収増益。とくに焼肉やbb.qオリーブチキンカフェが牽引したというが、売り上げで5割を占める居酒屋業態も健闘した。鳥メロの既存店売上高も、2026年2月度まで47カ月連続で前年を上回っているという。

決算説明会での説明によると、コロナ禍で減少した宴会場の受け皿として利用が伸びた面も大きいとのことだ。

鳥メロの内観。写真はJR尼崎南口店
写真提供=ワタミ
鳥メロの内観。写真はJR尼崎南口店

さらに、2026年6月3日のグランドメニュー刷新時も、生ビールなどの価格を据え置き。またフードもできるだけ店内加工、手作りに変えるなど品質向上も図ってきている。渡邉氏は説明会の席で「展開する300店舗で毎週20〜30件寄せられていたクレームが、1〜2件へと減ってきている」ことを引き、サービス品質や店舗改装の効果が出てきていることを説明した。