機械・電気・電子では大学院進学が「当たり前」
もう一つ知っておいてほしいのは、理系も一枚岩ではなく、分野で進路が大きく違うことだ。
とくに機械・電気・電子といったものづくり系では、学部卒で就職せず大学院(修士)に進むのが多数派になっている。
文科省の令和6年度学校基本調査によると、学部卒業者全体の大学院進学率は、およそ8人に1人、12%程度にすぎない。
ところが理工系に絞ると景色は一変する。
たとえば、東京科学大学(旧東京工業大学)や九州大学工学部では、およそ9割の学部生が大学院に進むという。機電系では「6年でひと区切り」が事実上の標準で、学部の4年間は通過点にすぎない。
就職市場では「院卒」は学部卒とは別格の扱いを受けることが多く、技術職の門戸の広さ、初任給、配属先のいずれも違ってくる。
これらの分野を選ぶなら、大学院まで進む前提で時間とお金の計画を立てておいたほうがいい。
なお、情報系のように学部卒で就職する人が多い分野もある。「理系はみんな院に行く」と一般化できるわけではないのだ。
受験は「入口」にすぎない
「とはいえ理系の受験は数学が大変では」と思う人もいるだろう。だが入り口のハードルは世間で思われているほど高くない。
私立であれば数学Iだけで受けられる理系学部もある。
数学IIIが必須だと思い込んで最初から候補から外す受験生や保護者は多いが、選択肢はもっと広い。「数学が苦手でも理系に進む」ことは、制度上は十分に可能なのだ。
大事なのは受験をゴールだと考えないことだ。受験は入口にすぎない。
入学後の4年間(分野によっては大学院の2年間も含めて)その学問をどれだけ使い、卒業後どの方向に進みたいのか。
そこまで見据えて、「入りやすさ」ではなく「出てからどうなるか」から逆算する。それがこれからの学部選びの基本になる。
そして、行けるのなら、なんとなくでも、大学には行っておいたほうがいい。
そのとき、理系も真剣に検討してみてほしい。
数学が苦手だという理由だけでその可能性を最初から閉ざすのは、あまりにもったいない。
そして、未来は、できるだけ選択肢が多い方がいい。


