文系学部に入って「数学」を使うことがある

もう一つの面はその逆だ。

文系に進んでも、数学がある程度分からないと立ち行かない分野がある。

代表が経済学、社会学、経営学で、パソコン普及前は大規模な計量分析は非常に手間がかかったが、1990年代にコンピュータが普及してくると、回帰分析をはじめとする統計手法が研究でも実務でも当たり前になった。

自分でプログラミングすることまではいらないが、数学が分からないとこうした分析にはついていけない。

「数学が苦手だから文系にしよう」と考えても、いざ入学してみると数学に追われる、という場合があるわけだ。

こうした流れは入試にも表れ始めている。

象徴的なのが早稲田大学政治経済学部だ。看板学部として知られる同学部は、2021年度入試から一般選抜で大学入学共通テストの「数学I・A」を必須科目にした。

早稲田大学
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それまでの一般入試は外国語と国語を必須とし、地歴と数学はどちらか一方を選べばよく、地歴を選択すれば数学をまったく解かずに合格できた。

この変更で、「文系三科目(英語・国語・社会)だけで難関私大の看板学部に入る」という長年定着したルートが不安定になった。経済学を中心に学ぶ学部が、数学を避けてきた受験生をふるいにかけ始めた、と言ってもよい。

つまり、「数学が得意だから理系、苦手だから文系」という単純な振り分けは、もうやめたほうがいい。数学の点数が低いからと理系を諦める必要はないし、文系を選んでも数学から逃げきれるとは限らないのだ。

理系を勧めるのは「出口」が違うから

では何を基準に選べばいいのか。私は「出口」、つまり卒業後にどうなるかで考えることを勧めている。

最も大きいのは就職活動での出口がまるで違うことだ。理系には「理系枠」という採用ルートがあり、文系の総合職一括採用とは競争の構造そのものが異なる。

大学や研究室の推薦を受けることや、専門職・研究職への道なども考えやすい。「数学が苦手でも理系に進んだほうがいい」と私が言うのは、この出口の違いを見据えてのことだ。