インフレが再燃する
そして、理由は後で述べますが、現実的にもこの先インフレが再燃する可能性は高いと考えられます。そうなれば、せっかくプラスになった実質賃金も元の木阿弥でマイナスになる可能性があります。
政府はガソリンや電力・ガスの補助金で物価をある程度は抑えていますが、企業の仕入れである「企業物価」がこのところ上昇しています。今年に入り3月までは2%台でしたが、4月には4.9%まで急上昇しています。
私が代表を務めるコンサルティング会社の500社ほどの顧客は、中堅・中小企業が多いのですが、彼らを見ていても仕入れが大きく上がっているところがほとんどです。これが、消費者物価に影響を及ぼすのは時間の問題です。
一部の顧客は怒っています。とくにナフサ由来の商品についてです、政府が言う通り、総量では足りているのかもしれませんが、「目詰まり」が起きていて流通量に不安があり、価格が3割ほど、場合によっては5割以上上がっているものもあると嘆いていました。
一方、在庫を十分に確保できている会社は、実はけっこう儲かっています。原材料や仕入れる製品がなくなるとどこの会社も仕事ができなくなるので、少々高くても買いたいというところが少なくないからです。それに応じて、価格が高騰しているのです。
さらに大変なのは、購買力が十分でない会社や個人商店では、十分な仕事ができないところも出てきていることです。パン屋さんで、食パンなどの袋で以前に使ったものを持ってきてもらうと10円引きというようなことをやっているところもあると聞きます。工務店で資材が入らないので家の建築が止まってしまったという報道もありました。
いずれにしても、値段の高騰は避けられません。消費者物価の上昇は目の前まできています。
実質賃金が再びマイナスに
そうなると、せっかく実質賃金がプラスとなったのが、またマイナスとなりかねません。それを防ぐためには、賃金をさらに上げるか、物価を抑えるかのどちらかです。
賃金に関しては、日本では春の賃上げが一般的なので、今後の改定は望み薄で、おそらく前年比で3%前後の上昇が続くと考えられます。
そして、物価については、先行きの上昇が予想されています。ガソリンの補助金などがない米国では、消費者物価の上昇率がイラン戦争の影響がなかった1月、2月ともにそれぞれ2.4%でしたが、戦争後の3月には3.3%、そして4月には3.8%まで上昇しています。卸売物価は4月にはなんと6%まで急騰しました。欧州でも米国ほどではありませんがやはり物価が上昇しています。

