どうすれば理想の結婚相手が見つかるのか。オックスフォード大学数学研究所教授のマーカス・デュ・ソートイさんは「学校で習った一次方程式は、暮らしにも役立つ。それを応用して、理想の結婚相手を探すことも可能だ」という――。(第2回)

※本稿は、マーカス・デュ・ソートイ『世界のエリートが学んでいる数学的思考法』(SB新書)の一部を再編集したものです。

天秤
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暮らしにも役立つ「一次方程式」

線形とは、関数に対して入力と出力を設定すると、グラフが直線になって表れることを意味します。出力が入力の一定の倍数となる場合、物事が直線的に変化することは皆さんもご存じの通りです。つまり、モデル化しようとしている対象の変化率が一定であるため、このような状況では物事を簡単に数学的にモデル化できます。

例えばプラム1個の価格が3ポンドの場合、プラム10個の価格は30ポンド、プラム100個の価格は300ポンドになり、値の増加率に変化はありませんよね。微積分の分野では物事が非線形に変化する可能性があり、その場合はモデル化が非常に難しくなります。

これは実のところ、学生たちがかなり早い段階で触れる数学の分野でもあります。学校では線形方程式(一次方程式)と呼ばれるものを理解し、2つの方程式と何らかの形で線形関係にある2つの未知の変数に出会うでしょう。

興味深いのは、この問題の起源がかなり古いことです。物事の線形変化を理解するという考え方は、中国最古の教科書の一つにも記されていたのです。古代中国は広大な帝国であり、時を経るごとに成長を遂げていきました。

広範囲に及ぶ課税制度や標準化された度量衡制度、貨幣制度を理解するためには数学に精通した商人や官僚が必要でした。その官僚の教育に用いられた書物の中に、今から2000年近く前に書かれた『九章算術』という数学書がありました。

量らずに重さを当てる数学のおもしろさ

この書は、貿易、賃金の支払い、税金といった実用的な分野における246個の問題を収録しています。そして、そこには、線形方程式を扱った難題が数多く含まれていました。

ここでは、線形問題を理解するための例題を挙げましょう。例えば、果物の重さを量る場合、特定の種類の分銅しか持っていないので、天秤の片側に果物を乗せ、それらの分銅を組み合わせる必要があります。重さは5グラム、10グラム、15グラムの3種類しかないとします。そして、天秤の片側にプラム1個と桃3個を乗せ、反対側に15グラムの分銅を乗せるとバランスを取ることができました。

同様に、プラム2個と桃1個が10グラムの分銅とつりあいました。この2つの結果は実は立派な方程式であり、これらから十分な情報が得られます。そして、ここにはいわゆる線形計画法の要素が隠されています。古代中国でも導入されていた手法で方程式を操作すると、プラム1個は3グラム、桃1個は4グラムという答えが明らかになります。

もちろん、プラムと桃の重さを直接的に計測したわけではありません。これが線形計画法の面白いところです。手持ちの情報を組み合わせて、数学的に答えを導き出すことができるのです。これらは、皆さんが普段目にする様々なパズルにも似ています。

与えられた断片的なヒントを適切に活用して、その全体像を解明するパズルのようなものです。これこそが線形方程式の本質とも言えるでしょう。