7月末、厚生労働省が、新型インフルエンザが大流行して従業員の40%が欠勤すると、医薬品や病床数が不足し、停電が起き、銀行ATMが一時停止するというシミュレーションを発表した。また、頻発する地震に対し、防災の日を前に警報システムの強化・見直しも行われている。原油高、食糧危機、新型狂牛病など想定されるリスク情報はさまざまに氾濫しているのだが、実際のところ私たちはどのように対応したらよいのだろうか。

『最悪の事故が起こるまで人は何をしていたのか』では、チェルノブイリ原発事故、強度不足による建物の崩落、肥料工場の爆発事故など60余件の実例を、科学技術とヒューマンエラーとのかかわりの中でとらえている。

なかでも将来起こりうる可能性を探り、事前に対応しておくリスク管理の成功例は参考になる。ジェット旅客機DC-10の設計ミスで3つの操縦系統が隣接していることに気づいたパイロットが、仮に引火した場合何が起きるかをシミュレーターを使った猛練習によって検証し、事故下での操縦手法を身につけた。飛行中にこの事故が実際に起きてしまい、無事着陸に成功した実話を精査している。

(篠田 達=構成)