NISA売却で購入資金に充てるのは得策?

横山光昭・関口博美『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』(小学館)
横山光昭・関口博美『おふたりさまの老後資金は「これ」で増やす』(小学館)

加えて、「住宅ローンを組めるタイムリミットが残りわずか」という焦りもありました。

一般的な金融機関の住宅ローンは返済期間を35年程度設けていますが、60歳以上で買うと完済時年齢を80歳未満に設定され、借入期間が20年未満に短縮されます。月々の返済が重くなる上、借り入れ条件も厳しくなります。

となると、家を買うのは今しかない。焦る半面、地方へと居を移すと、住み慣れた街や人間関係、そして今の仕事(収入)も手放すことになる。現在の家賃は昨今の家賃高騰の波を受けておらず、費用対効果を考えると「もったいない」という思いも捨てきれない。それに上がり相場の今、家の購入資金のためにNISAを全て売却することにも戸惑いがある。考えても考えても結論が出ず、私たちのところにアンサーを求めて来られたわけです。

資産総額は約1950万円あるが

では、相談当時の立川さんの資産はいかほどだったのか。整理すると以下のようになりました。

【資産総額:約1950万円】
・iDeCo(20年以上継続・月2万3000円):運用益含め約1500万円
・NISA(20年以上継続・月平均約7000円):評価額約400万円
・現金貯蓄:約50万円

※65歳の定年時に退職金が200~300万円程度入る見込み

資産約1950万円のうち、その約77%がiDeCoです。iDeCoは原則60歳まで引き出せず、相談当時の立川さんは59歳。あと1年近く引き出せません。そうなると、いざ頭金を用意しようとすると、手元にある流動性資産はNISAの400万円と現金50万円のみ。「資産は2000万円弱あるのに、使えるお金は450万円程度しかない」という身動きが取れない状況です。