家を買わなければ資産寿命は15年伸びる

そこで私たちは、いったんライフプラン表を作成することにしました。言葉だけでは「買っていいのか、いけないのか」を判断しきれなかったからです。

まず、「NISA(評価額400万円)を売却して、約400万円を頭金に充て、実家近くの物件(諸手数料含め2000万円程度)を購入する」シナリオで試算。残債約1600万円を住宅ローンで借り、返済は最長で80歳頃まで続く計算です。

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写真=iStock.com/miniseries
※写真はイメージです

定年を迎えた60歳以降、年金が入る65歳までの5年間はさらに収入が減る見通しで、仮に手取り月18万円で住宅ローン月7万円の返済を始めると、家計収支はたちまちマイナスに転落しました。

65歳以降、仮にパート収入(手取り月平均10万円)があったとしても厚生年金(基礎年金込みで手取り月13万円程度)と合わせて月の手取りは23万円前後。月7万円のローン返済は重く、生活のゆとりはありません。

旅行や家電の買い替えなど年間特別支出はもちろん、親の介護が始まればパート収入も危うくなります。iDeCoを年金形式で受け取れば月々の収入は増えますが、それはローン完済の80歳頃まで働く算段となっているパート労働もできなくなった時の「最後の砦」として除外したいところ……。

家を買わない場合のマネー試算は

一方、400万円のNISAを売却しないで今の賃貸物件に住み続ける場合はどうか。

試算をすると、家計を引き締めるシナリオでは、資産寿命は80歳頃まで伸びる見通しが立ちました。家賃負担は依然として続くものの、iDeCoからの年金や、厚生・国民年金でしのぎ、老父のケアも月々のローン返済がない分、帰省費用に回すというプランです。

ただ、悠々自適な老後暮らしとはいかないものの、NISAの運用益が積み上がっていけば、資産に厚みを持たせることは安心材料です。

ライフプラン表の数字を一緒に確認した立川さんは、ようやく「今は家を買わずに、現在の賃貸物件に住み続ける方が得策」という結論に到達。「買う前に相談に来てよかった」と胸をなで下ろしていました。「今じゃないとローンを組めないかも」といった焦りが視野を狭めていたようです。