しがらみのない“ヨソ者”が突破口に
今やSEKAI HOTEL 大阪布施は、地域の人々にも受け入れられる存在となった。さらに運営会社のクジラは、ホテル事業にとどまらず、布施という街との関わり方そのものを広げようとしている。
「もともとリノベーション事業もやっていることもあり、布施の土地や、街づくりの相談を受ける機会が増えてきています。なので、ホテル事業にとどまらず、街づくりにも参画していきたいと思っています」
実際、更地になった場所をどう活用すれば街にとって望ましいかといった相談も持ち込まれている。まだ着工には至っていないが、完成イメージの作成までは進んでいるという。
そうした街との関わり方において重視しているのは、商店街組合と公式に組むことよりも、自分たちなりの判断と方法で商店街に関わっていくことだ。
「いわゆる“いい意味でのしがらみ”があると、結局商店街の意思決定の流れに乗ってしまうと思っています。20代を中心としたベンチャー企業が、この場所で商売をする意味は、自分たち独自の判断で事業を進めていくことにあると思っています」
2025年10月には、これまで分かれていた「クジラ株式会社」と「SEKAI HOTEL株式会社」を統合。今後は、リノベーションとホテル運営を横断する「まちづくりの会社」として歩みを進めていく考えだ。
SEKAI HOTELのモデルは、一般的なホテルに比べて初期費用を抑えやすく、地域にすでにある店や施設を生かせる。さらに、商店街組合と公式に組むのではなく、個々の店舗と関係を築きながら進めていくやり方は、小さく始めながら地域との接点を広げていける点でも柔軟だ。
地域ごとの魅力はありながらも、その発信や届け方に悩む街は少なくない。SEKAI HOTELのモデルは、そうした地域の魅力を過度に作り変えることなく、今ある姿のままで外へ伝えていける可能性がある。商店街ホテルが全国へ広がっていく未来は、そう遠くないのかもしれない。


