地方自治法違反のリスクは取れない
そういうわけで出版四団体(出版社側の「書協」「雑協」と、取次の「取協」、書店の「日書連」)は、公取のお墨付きを得た上で、2025年春に再販契約書のひな形を改訂し、官公庁等に入札した場合は値引きを認める旨の条文を削除した。
ただ再販契約は民間同士の契約にすぎない。法律で「定価販売しないと違法」と定められているわけではない。
あくまで出版社、取次、書店のあいだの契約であって、本の売り先である自治体は契約の対象外だ。定価で買うことを強制される筋合いはない。
地方自治法(法律)と再販契約(民間同士の契約)で、前者より後者を優先しなければならない理屈もない。
だから書店が苦しいことを理解している図書館現場や行政職員がいたとしても、簡単には手続きを変えられない。
これまで一般競争入札を実施してきた自治体では、それなり以上の金額の予算(図書購入費)の契約について「随意契約等で地元事業者に優先的に発注する」といった変更を行うのは、地方自治法の趣旨・規定に照らし合わせると法的妥当性が希薄ではないかと判断するケースがある。
納本事業者選定や値引き、装備費負担に対する考え方は現時点でも自治体によってかなり異なるから、ここまで述べてきたことがとくに問題になっておらず、市民や議会も含めて理解が得られているところもある。
政治家が動くべき
とはいえ、いま入札で「割引前提」「装備費込み」で納本事業者を決めている場合、地方自治法違反とされるリスクを負ってまで変えようと考える自治体が、はたしてどれだけあるだろうか。
地方自治法と書店振興政策、どちらの政策・法律を優先すべきなのかが不明なままでは、地方行政は現状からの変更に及び腰にならざるをえない。
こうした政策間の衝突、矛盾に関して、官僚や自治体職員による調整に委ねるのはムリがある。
間に入ってうまく優先順位を付け、摩擦やダメージが最小限になるよう差配できるのは政治家だけであり、とりわけ国政を担う政治家の役割がきわめて大きい。
書店議連には150名以上の国会議員がいるというから、ぜひこれらの問題について交通整理と早急かつ有効な対応を行ってほしい。


