文科省みずから書店潰しに加担
文科省は、街の書店を「文化の拠点」だと形容しているが、その文科省がデジタル教科書を推進するなら、文科省自ら「文化の拠点つぶし」に加担することになる。
一方、日本の経産省も書店振興政策を参照しているフランスではではデジタル教科書を導入しても既存の流通(卸)やリアル書店にお金が落ちるしくみが用意されている。
フランスでは基本的に、学校が教材を発注する際に、出版社からの直販は認められておらず、代わりに教育機関向け専用プラットフォームから発注する。
その際、入札で選ばれた書店や卸売業者が間に入って注文処理の窓口となる。これによって、デジタル教科書の場合でも、書店や卸売業者が売上の15~20%程度の販売手数料を得られる。
地方の書店は全滅しかねない
また、書店がデジタル対応できるように、フランス文化省の下部組織である国立書籍センター(CNL)などが、デジタル教科書の取り扱いを含むデジタル・サービス導入への助成金を支給している。
ただ、フランスでは、デジタル教科書に関しては法律によって公的機関に対する割引が一切禁止とされた。そうなると入札での業者(販売窓口となる事業者)選定は、価格ではなく、学校側の労力をいかに減らせるか、あるいはアフターサービスや技術サポートなどでの条件競争になる。
リソースの少ない一般の地元中小書店は、助成金をもらってICT投資をしたところで、高度なシステムとサポート体制を持つ大型書店や卸売業者に入札で勝てる見込みが薄くなる。
そうした構造的な問題も残されてはいるが、フランスでは国がデジタル教科書販売に関しても書店や卸(取次)の参入余地を残した制度設計がなされているわけだ。
日本でもデジタル教科書を推進するなら、このフランスのような制度設計が必要不可欠だろう。それなしにデジタル教科書を推進した場合、特に地方の書店に想定されるダメージが大きすぎる。

