ワークマンに「戦略という言葉は禁止」

この哲学を支える日課があります。土屋さんは毎朝、出社前に「凡人、凡人」と5、6回唱えるのだといいます。東大を出て三井物産で子会社社長も務めた経歴からは想像しにくい習慣ですが、本人はこう説明します。「自分が間違ったことを毎朝思い出すと、謙虚になれる。謙虚になると、いろんな人に聞きに行ける。聞きに行くと、会社の未来の芽が見つかる」。

出社は週2日、朝6時から午後2時まで。残りの日は全国の出店候補地を回り、通行量を数え、フードコートで昼食を取り、映画館の入りを確かめる。加盟店の募集広告の原稿を自ら書き、応募が少なければ書き直す。「もっと秒単位で働くと思っていた」と過去の自分に苦笑しながら、「ガツガツしないほうが、ある種いい結果が出る」と言い切ります。

今、土屋さんが社内に出している唯一の数値目標は、「4年以内に社員の年収平均を1000万円にする」こと。小売業では前例のない水準です。入社時に570万円だった平均年収をすでに230万円以上引き上げてきた実績があります。「凡人経営だからこそ、社員の待遇を先にコミットする。ダメだったら頭を下げて1年延ばしてもらえばいい」。

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