※本稿は、長尾義弘『老後不安は「思い込み」が9割』(青春新書インテリジェンス)の一部を再編集したものです。
「病気・介護・お金」対策だけでは不十分
「ひとり暮らしの老後で困ることって、やっぱり病気とか介護じゃないの? あとお金でしょ?」たぶん、多くの人がそう思うはずです。もちろん、その通りです。病気やケガ、介護の問題、そしてお金。これは老後の3大テーマと言ってもいいでしょう。ひとり暮らしとなると、なおさら不安になります。でも、実際に困るのは、それだけではありません。
もっと日常的で、もっと地味な問題が、じわじわ効いてきます。たとえば、入院するときの保証人。これが意外とハードルになります。介護施設に入るときも同じです。「身元保証人はいますか?」と聞かれて、すぐに名前が出てくる人がいるでしょうか。ちょっとした買い物が負担になることもあります。
重いものが持てない。天候が悪い日は外に出られない。毎日のゴミ出しがきつい、という声もよく聞きます。
介護サービスを使えば全部解決、というわけでもありません。制度ではカバーしきれない“すき間”が、意外と多いのです。さらに、認知症を発症した場合。判断能力が低下すると、契約や財産管理が難しくなります。そのときには後見人が必要になります。
そして、あまり考えたくはありませんが、亡くなったあとの手続き、いわゆる「死後事務」の問題もあります。誰が役所の手続きをするのか、家の片付けはどうするのか。ひとり暮らしの場合、ここも現実的なテーマです。こうやって並べると、ちょっと暗い気持ちになりますよね。
身元保証人はいますか?
でも、ここで言いたいのは「大変だ、怖いぞ」という話ではありません。何も対策をしなければ、生活の質が落ちてしまうおそれがある、ということです。逆に言えば、きちんと準備をしておけばいいのです。この本は、不安をあおるための本ではありません。
豊かで楽しい老後を目指すための本です。問題を直視するのは、ネガティブだからではなく、安心するためです。保証人のことも、後見制度のことも、支援サービスのことも、前もって知っておけば選択肢が広がります。準備ができていれば、必要以上に怖がることはありません。
ひとり暮らしでも、自分らしく、安心して暮らすことは十分に可能です。そして最期のときに、「いろいろあったけど、いい人生だったな」と思えたら、それがいちばんの成功ではないでしょうか。老後の不安は、放っておくと大きく見えます。でも、一つひとつ対策を立てていけば、ちゃんと小さくなっていきます。
ここからは、ひとり暮らしの老後を、もう少し現実的に考えてみましょう。いちばん困るのが「身元保証」です。たとえば、ある日突然、転んで動けなくなった。あるいは病気で倒れて救急搬送された。そんなとき、緊急入院になることがあります。入院するとき、ほぼ必ず求められるのが身元保証人や緊急連絡先です。

