さまざまな場面で求められる「保証人」

命に関わる緊急事態なら受け入れてもらえますが、緊急性が低い場合は、保証人がいないことで受け入れを渋られるケースもあります。病院側としても不安なのです。手術の同意書は誰がサインするのか。本人が意思表示できなくなったら、治療方針は誰が決めるのか。万が一、亡くなった場合の手続きはどうするのか。治療費はどう回収するのか。

たとえ本人に数千万円の預金があっても、本人が動けなければ、そのお金をすぐ使えるわけではありません。さらに、入院生活は意外と細かいことで困ります。パジャマや下着、スマホの充電器を家に取りに帰れない。入院が長引けば、携帯電話や公共料金の支払いも気になります。信頼できる人がいれば頼めますが、誰もいなければ途方に暮れてしまいます。

賃貸住宅を借りるときも、基本的には保証人が必要です。最近は家賃保証会社を使えるのでハードルは下がりましたが、高齢のひとり暮らしだと、孤独死のリスクを理由に入居を断られるケースもあります。

介護施設に入る場合も同じです。契約時には本人以外の署名や緊急連絡先が求められます。体調が悪化して入院となれば、施設の業務外になるため、代わりに対応してくれる人が必要になります。

【図表1】身寄りのない高齢者が抱える課題の例
写真=共同通信社
身寄りのない高齢者の課題 身元保証、遺骨受け手なく

頼れる親戚、友人がいるかがポイント

つまり、ひとり暮らしでも「完全にひとり」では成り立たないのです。未婚で親戚付き合いもほとんどない、という人もいるでしょう。その場合、頼れる友人がいるかどうかが大きなポイントになります。ただ、みんながみんな、都合よく頼れる人を持っているわけではありません。

そのあたりは、公的サービスで全部カバーできるのでしょうか。ここがまた、微妙なところです。たとえば退院のとき。退院手続きそのものもそうですが、自宅に戻ってからが大変です。ケガならギブスがついていて動けないかもしれない。

病気なら安静が必要かもしれない。すぐに元通りの生活に戻れるとは限りません。食事の準備がつらい、買い物に行けない、掃除ができない。そんな場面は普通に起こります。

このときに介護が必要なら、公的介護保険を利用することになります。入院中に申請することも可能です。私の母も、脳梗塞で倒れたとき、入院中に地域包括支援センターへ連絡し、介護認定の手続きを進めました。

退院後に困らないよう、自宅をバリアフリー化し、すぐにヘルパーさんが入れる体制を整えました。入院は突然やってきます。だからこそ、退院後の生活まで見越して考えておく必要があります。

公的サービスを活用すれば、多くの問題は解決できます。ただし、万能ではありません。訪問介護も、とてもありがたいサービスです。日常生活に支障があるときには、本当に助かります。ただし、何でもお願いできるわけではありません。