脈が乱れているのに、本人はまったく気づかないことがある。すぎおかクリニック院長の杉岡充爾さんは「心房細動は自覚症状がない人ほど怖い。血のかたまりが脳に飛べば脳梗塞、心臓の力が落ちれば心不全になる」という――。

※本稿は、杉岡 充爾『不整脈・動悸・心房細動 自力でできるリセット法』(アスコム)の一部を抜粋・再編集したものです。

その動悸、実は危険信号

不整脈や動悸の自覚症状がある方、あるいは自覚症状はなくても健康診断などで指摘される方のほとんどが、期外収縮です。

ここでお話ししたいのは、その次に多い「心房細動」のことです。

「心房細動」は、異常な電気刺激によって心房の筋肉がバラバラに興奮し、心房が細かく震えるような状態(細動)になります。すると、すべての脈のリズムがバラバラに乱れてしまうという不整脈です。

心房細動の多くは、脈がバラバラで速くなります。ただ、なかには、1分間の脈拍数が40程度になったり、5秒ほど脈が止まったりするなど、脈が遅くなるケースもあります。

つまり、脈が速かろうが遅かろうが、とにかく脈のリズムがバラバラに乱れるのが心房細動です。

正常な脈は、「トン‐トン‐トン‐トン‐トン」と、規則正しくリズミカルに打っています。しかし、心房細動では、こんなぐあいです。

「トン‐トントン‐トン‐トントン‐トントントン‐トン」

心房細動だけに特有の症状はありませんが、起こりやすい症状(自覚症状)としては、ドキドキする動悸・息苦しさ・胸が押さえつけられる感じなどがあります。

「大丈夫」で高まる大病のリスク

最も多く見られるのは動悸です。心房細動に加えて動悸がある場合は、あくまでも一例になりますが、このような脈の感じ方になります。

「トン‐トントン‐トン‐ドキドキ(ドキンドキン)‐トン」

一方で、自覚症状がまったくない方も多いのが、心房細動の特徴です。特に、70代・80代の高齢者では無症状の場合が多く、「何カ月も何年も気づかずに暮らしてきた」という方もいらっしゃいます。

また、現役世代に多いのは「健康診断でたまたま見つかった」という場合ですが、自覚症状がないゆえに、“軽く考えている”方もたびたび見受けられます。

ここで気をつけていただきたいのは、症状がないからといって、病状が軽いわけではないということ。

心房細動そのものは命に直接関わるものではありませんが、放置し続けていると、命を奪うような病気になるリスクを高めてしまいます。ですから、症状がある方はもちろん、無症状の方も受診をするようにしてください。