著名人を襲った「脳梗塞」の原因に

心房細動は、続く期間によって、「発作性」「持続性」「慢性(永続性)」の3つのタイプに分けられます。

●発作性の心房細動 → 「突然始まって突然治る」「発作で出ているときもあれば、元の正常な脈のリズムに戻っているときもある」ということをくり返す。1週間以内に自然に治まる
●持続性の心房細動 → 発作が1週間以上続く
●慢性(永続性)の心房細動 → 24時間ずっと心房細動を起こしている状態が、1年以上続く

いずれのタイプであっても、心房細動そのものは命に直接関わるものではありません。だからといって、放置していいものではないのです。

理由は大きく2つあります。

理由① 血栓ができる=脳梗塞のリスクが高まる

心房細動では、心房の中で血液がよどんで血栓(血液の塊)ができやすくなります。この血栓が、なにかの拍子に血流に乗って脳まで運ばれて(血栓が飛ぶ、という言い方を聞いたことがあるでしょう)、脳の血管を詰まらせてしまうことがあります。

つまり、「脳梗塞」を起こすということです。

読売巨人軍の終身名誉監督である長嶋茂雄さんや、小渕恵三元総理らは、このように心房細動でできた血栓が脳に飛んで脳梗塞を発症しました。

特に血栓ができやすい条件は、「高齢」「糖尿病」「高血圧」などですが、いずれにせよ、どなたにも血栓が飛ぶリスクがあることは、忘れないようにしてください。

心臓の力を静かに奪い「心不全」に

理由② 心臓のパワーが落ちる=心不全のリスクが高まる

また、心房細動が起こると、心臓の収縮の動き(パワー)が2割落ちると言われています。さらに、脈がバラバラになりつつ速くなる方が多いのですが、こうなると、心臓が収縮するヒマがなくなります。心臓がうまく収縮できないと、「全身に血液を送れない状態」になってしまうのです。

つまり「心不全」の状態です。

全身の臓器が必要とする血液を十分に送れないので、息切れをしたりむくみが出たり、進行すると息苦しくて眠れないといった症状が現れたりします。

年齢が若く、糖尿病・高血圧・脳梗塞・心不全の発症歴がない方であれば、心房細動が起きても、すぐに命に関わるような変化はほとんど起こりません。

ですから、その場で慌てる必要はまったくありません。ただし、必ず「翌日には」病院に行ってください。

慌てなくてもいいなら、翌々日でもいいのでは? と思われるかもしれませんが、「翌日には」というところが肝心なのです。

健康診断で心房細動と言われたけど、症状を感じたことはないし、病院に行く時間がないから、様子を見ていればいいか――。そう思われるかもしれませんが、心房細動は脳梗塞や心不全のリスクから、基本的には治療の対象です。

自覚症状があってもなくても、軽く見るべきではないことに変わりはありません。

胸に痛みを感じる女性
写真=iStock.com/dragana991
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