アルバイトの悪ふざけ投稿を防ぐためには、懲戒処分とは別の抑止力が必要だ。まず考えられるのは損害賠償請求だ。「賠償が認められるのは、廃棄した商品代や清掃代などの実費のみ。店の売り上げと利益が下がっても、投稿との因果関係を認めてもらうのは困難」(同)というが、賃金の高くないアルバイトにとっては、数万~十数万円の損害賠償も十分な痛手になる。
刑事告訴も選択肢の1つだろう。業務に支障をきたす投稿であれば、業務妨害で告訴することも可能。業務妨害は3年以下の懲役または50万円の罰金だ。投稿した本人は、業務を妨害する意図はなかったと主張するかもしれない。そこで鍵を握るのが社内教育だ。
「業務妨害になると思わなかったという言い逃れをさせないために、過去に悪ふざけ投稿が引き起こした事例を事前に教育しておくことが大切。それが抑止にもつながります」(同)
損害賠償や刑事告訴の可能性があることを事前に教育しても、おそらくバカッターを完全になくすことはできないだろう。従業員の投稿が炎上した場合に取るべき対応について、浅見弁護士はこうアドバイスしてくれた。
「投稿が広がらないように従業員に削除させるべきですが、黙って削除すると、こんどは『隠蔽に走った』と炎上するリスクが高まります。削除すると同時に、謝罪と再発防止についてリリースを出すくらいの迅速な対応が求められます」
(図版作成=ライヴ・アート)