※本稿は、横山佳枝『ブラック就業規則』(東洋館出版社)の一部を再編集したものです。
飲食店店長に課された「売上未達なら自腹買取」は許されるか
私は、飲食チェーン店で店長として働いていますが、毎月一定の売上目標が課されており、就業規則により、売上目標が未達成の場合には、自腹で商品を買い取るとされています。このような就業規則に法的な問題はないのでしょうか。
いわゆる「自爆営業」については、法令上明確な規制はなされていませんが、従業員に不要な商品の購入を強要することは、不法行為やパワハラに該当する可能性があり、公序良俗違反として売買が無効となる可能性もあります。そのため、そのような就業規則の定めに従う必要はありません。
「自爆営業」については、令和8年10月施行予定の改正パワハラ指針において、パワハラの要件を満たす場合は、パワハラに該当することが明記されます。
横行する「自爆営業」の実態
従業員に一定のノルマを課し、ノルマ未達の場合に、自社の商品やサービスの買取りを求めることにより、収益向上への貢献を強制することは、「自爆営業」と呼ばれています。
平成24年頃、日本郵便の従業員が年賀状などの販売ノルマを達成するために、自腹を切って購入したことが大きな話題となりました。政府の規制改革推進会議の発表によれば、以下の通り、様々な業界で、「自爆営業」が行われています。
・営業ノルマ未達分の買取り要求
中古車販売店:社内の自動車保険契約数のノルマを達成するため、自費で自動車保険に加入を迫られる。
コンビニ:本部が仕入れのノルマを加盟店に課し、売れ残り商品の廃棄コストを加盟店の負担とする。
飲食店:ノルマ達成や商品の廃棄を減らすため、自費で商品の購入を求められる。
アパレル:ノルマ達成のため、自費で服の購入を求められる。
・自社商品の購入要求
中古車販売店:新入社員が入社後に半ば強制的に自社での車購入を迫られる。
コンビニ:クリスマスケーキや恵方巻などの季節商品の購入を求められる。
飲食店:注文ミスやつくり間違え発生時の料理の購入を迫られる。
アパレル:就職後、制服として、売場の商品3~4着の購入を強制される。

