労働基準法16条が禁じる「損害賠償予定」に該当する
「自爆営業」については、仮に、ノルマ未達成分の代金を労使協定なく給与から控除している場合には、賃金全額払いの原則に反します(労働基準法第24条)。
また、会社が従業員に対し、ノルマ未達成の場合に不要な商品やサービスの購入を求めることは、従業員に一定の場合の損害賠償を負わせるものであり、実質的に労働基準法第16条が禁止する損害賠償の予定に該当し、違法と考えられます。
また、従業員は、本来、商品やサービスを購入するかしないかについて自由に意思決定できるところ、その意思に反して、会社側が不要な商品やサービスの購入を求めることは、不法行為(民法第709条)に該当する可能性があり、売買が公序良俗に違反するとして無効となる可能性もあります(民法第90条)。
裁判所が違法と認定した事例
売れ残り品買取り強要の事案(東京地裁平成28年12月20日)は、コンビニ店舗の従業員が店長らから売れ残り品の買取りを強要されたことやその他のパワハラについて、損害賠償を求めた事案です。
裁判所は、暴力的ないじめやハラスメントがなされていたとした上で、売れ残り品の買取りについて、個人的用途を大きく超える量であり、任意に購入するとは考えがたく、買取りを強要されたものと推認すべきとして、会社及び店長らの不法行為責任を認めました。
自社商品の過大な継続購入の事案(大阪地裁平成20年4月23日)は、呉服店の従業員が自社商品を長年にわたり継続的に購入していた事案で、会社に対し、代金相当額の返還を求めました。
裁判所は、会社が従業員に対し、制服着用や売上目標達成を強要していたとまでは認められないとしつつ、従業員がその給与に匹敵するほどの自社商品購入を継続していたことを認識しながら、これを放置し利益を得ていたとして、一定期間後の売買を公序良俗違反により無効と判断しました。
令和8年の指針改正でパワハラに明記される
「自爆営業」が横行している会社では、パワハラや長時間残業という問題も発生していることが多く、悪しき慣習として早急に改善すべきです。「自爆営業」については、令和8年10月施行予定のパワハラ指針において、パワハラの要件を満たす場合にはパワハラに該当することが明記されます。



