タイミーの「腕の見せ所」
以上を踏まえると、企業側のドタキャンについては、プラットフォーマー企業として毅然と対応し、ワーカーに対する管理としては「誠実なワーカーの認定」を行う、この2つの策を両輪として運営していくことが必要ではないだろうか。
プラットフォームには、参加企業や利用者が増えるほど価値が高まる「ネットワーク効果」がある。だが逆に、企業や利用者の間で信頼が崩れ、魅力を感じなくなれば、その効果は逆回転する。参加者が減れば価値が下がり、価値が下がればさらに参加者が離れる。こうした負のスパイラルを防ぐことこそ、プラットフォーマーの重要な役割である。
タイミーはこれまでも当然上記の事を認識して必要な施策を取ってきたはずだが、今回の訴訟により新たな対策も講じられていくはずだ。
こうした対策のコストはかかってくるが、むしろコストをかけることによって市場の安全性は担保されうる。市場の発展性の観点からすれば、これからが“プラットフォーマーの腕の見せ所”である。
スポットワーク市場を守る価値
今回の出来事は、我々がいつでもプラットフォームの利用者や参加者、場合によっては設営者になり得ることを考えると、プラットフォーム市場全体の利便性向上と同時に、信頼性や安定性、必要な保護や責任の考え方を学ぶきっかけにもなる。
個人のダブルワークや副業などの多様な働き方が広がる中で、労働提供手段が増えることは今後も予想される。企業にとっても、人口減少社会において季節性業務などでの一時的な労働力が必要な際、スポットワーク市場は頼りになる。
つまり、スポットワーク市場は本来、企業にとっても個人にとっても有効かつ魅力的な存在なのだ。
今回のタイミー訴訟は、単に「企業の直前キャンセル」といった問題ではない。スポットワーク市場が、その構造を踏まえて信頼・安心を向上させ、今回浮き彫りとなった課題に対して誠実に解決していき、安定的に発展していくための重要な転換点だ。


