「スライム肉まん」は1週間で100万食
前職の伊藤忠商事時代(食品事業)では、自分自身で手帳を使って週単位で細かく時間を管理していましたが、いまは手帳を持っていません。私のスケジュールは秘書室が一括して管理しているので、その必要がないのです。
コンビニは、365日、24時間が勝負の世界です。社長である私の予定も土日関係なく埋まっていきます。私が希望する時間は、まず秘書室に連絡して、予定を確保してもらっています。
ただし、手帳がないと不便な場合もあります。そこで、今日、来週に行うことを思いつくと、その内容を糊付き付箋に書いて机に貼っています。やるべきことが可視化されていれば、忘れる心配はなくなり、安心して目の前の仕事に集中することができます。
机上の付箋の数が増えてくると、無言のプレッシャーとなり、処理のスピードも速くなるというメリットもあります。優先順位は気にしていません。内容を見れば何を先にやるべきか自然と決まってくるからです。また、今日中にやらなくてもいいものは、名刺入れの裏に貼り付けて持ち帰っています。
個人の時間管理を難しく考えすぎてはダメです。大切なのは、当たり前のことを当たり前にやることです。今週やるべきことを1つ決めたら、きちんとそれをやって結果を出す。そうしたら翌週は次の仕事に集中できる。1つ1つ仕事を完成させて積み上げていくのが、最も効率のいいやり方です。
実は会社の時間の使い方も、個人の場合と基本は一緒です。具体的にいうと、ファミリーマートでは1年を52週に分けて計画を立て、その計画を順に達成していくというやり方をしています。こうすることで年間目標も自ずとクリアできるというわけです。
例えば、11年11月末に発売した「スライム肉まん」。発売後わずか1週間で、予定の100万食が出荷完了となったにもかかわらず、増産しませんでした。なぜなら、売れたからといってどんどん発売期間を延ばしていけば、次にラインナップを予定している商品の登場機会が奪われてしまうからです。これでは計画の意味がありません。そうではなく、スライム肉まんのヒットは翌年の計画に反映させればいいのです。