新しいメディアであるフェイスブックやツイッターなど、SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)も大きな武器です。スライム肉まんは、これらのサイトで発売前から話題となっていました。そういった口コミがあっという間に広がり、宣伝広告費なしで、大きな効果を生むことができたのです。
SNSの声がヒントになって生まれたPB商品もたくさんあります。それらは他社のPB商品のように、必ずしも割安ではありません。先ほどのスライム肉まんは170円もします。通常の肉まんは100円程度ですから、多少高くてもここでしか買えない、そして思わず買いたくなってしまう商品が、店内の活気を生み、新しいお客様の流れをつくり出していくのです。
「得した」心の豊かさをシニア世代に訴える
また、もともとコンビニでスイーツを買う発想を持った人はいなかったですが、男性はお酒をたしなんだ後、甘いものを食べたいのではないかという仮説を持ったのです。そこで、「Wクリームエクレア」に代表される「俺のスイーツ」シリーズを販売したところ、新しいヒット市場を開拓したのです。「社長のごはん」シリーズも同様です。たとえ5つのうち、4つは外れても、1つ当たればいいと挑戦し続ける。そんな商品を次から次へと提供するのがファミリーマートの目指すコンビニエンスストアの姿なのです。
さらに、お客様のターゲットをこれまで比較的未開拓だったシニア層にも広げていこうと思っています。
東日本大震災以降、消費に対する日本人の考え方が明らかに変わってきました。いい例が質流れ品の即売会です。2011年はどこも大盛況で、ブランド品が飛ぶように売れたそうです。使わないものを売って、そのお金を別の商品に使ったほうがいい。高級品が手頃な値段で買えるなら我慢せず買う。要するに売る側も買う側も、安い商品を探して、安心するのではなく、人生何が起こるかわからないのだから、もっと積極的に「得をした」という、心の豊かさを得たいと考え始めたのです。