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上田会長のある1日

その気持ちが最も強いのは、比較的お金も時間もあるシニア層(50~65歳)です。我々はこの世代を「プレミアムエイジ」と呼んでいます。今やシニア層は昔と違って、多趣味で新し物好きで感受性豊かな人が多い。そこで、11年11月末、TSUTAYAのつくった大人の空間、「代官山T-SITE」の一角にファミリーマート代官山店をオープンしました。

店内は木目を基調とした内装に、吊り下げ式の照明と、高級感あふれる造りになっています。57種類のワインやヨーロッパの輸入菓子、1970年代にヒットしたフォークソングのオムニバスCDなど、大人の好奇心を満足させる上質な商品を揃えました。

商品が多少高くても欲しいものが手に入れば、お客様には得したと感じていただけるはずです。ここに来れば良質な時間を味わえ、さまざまなジャンルのものがすぐに手にはいるファミリーマートの新しい空間です。

我々は海外、特にアジア市場に積極的に展開していく方針です。国内のコンビニの総数は約4万5000店舗(2012年時点)で、減少する人口を考えると5万店舗が限界でしょう。しかし、海外にはまだまだ拡大の余地が残っています。特に中国は長らく国営企業が小売業を営んでいたので、最近までサービスという概念そのものが存在しませんでした。ですから、日本国内同様にお客様を感謝の気持ちで迎え、サービス、クオリティーやクリンネスといった「SQC」を徹底すれば、お客様のさらなる獲得は可能だと考えています。

当社の店舗数は海外で約1万800店、国内が約8700店(2012年時点)です。これを15年には全世界で2万5000店、20年に4万店にするのが目標です。365日、24時間フル稼働の状況はまだまだ続きます。

ファミリーマート会長 上田準二
1946年、秋田県生まれ。秋田県立横手高校卒。70年山形大学文理学部卒業後、伊藤忠商事に入社。食料部門長補佐、CVS事業部長を経て、2000年ファミリーマート顧問。同年執行役員社長特命事項担当、01年ファミリーマート常務取締役、02年社長。13年1月より現職。
(山口雅之=構成 川本聖哉=撮影)
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