物流網の再構築で気候変動にも対応

気候変動による「旬のズレ」も深刻だ。

かつて九州のブロッコリーは9月末から出荷できていたが、現在は残暑が厳しく11月頃までずれ込んでいるという。逆に春の終わりは早く、6月まで獲れていたものが5月上旬で終わってしまう。

これに対応するため、同社は北海道だけでなく、群馬県や長野県といった標高の高い冷涼な産地の開拓を進めるとともに、産地ごとに特性の異なる4〜5種類の品種を組み合わせることでリスクを分散させている。

「運送の面がこれからもっと大変になると思うので、関東と鳥取のちょうど真ん中あたり、滋賀や愛知あたりにもう一つ営業所を出して『物流のハブ』にしたいと考えています。もしかしたら、運送会社さんと一緒に組んで新たな物流網を構築する可能性もあるかもしれません」

農業を儲かるかっこいい仕事にしたい

そして令和8年度からの「指定野菜」への昇格について、井上さんは手放しで歓迎している。実は國﨑青果では、国に先んじて独自に「農家への価格保証」を行ってきたのだ。

「豊作で市場価格が暴落したときでも、うちの契約農家さんには『最低でも手取りで1個50円や60円は保証する』という約束を何年も前からやっています。今年で言えば、下値を60円に設定。安い時は身銭を切って買い支え、その代わり高い時はスーパーさんに安定した価格で出させてもらう。そうやって農家さんが絶対に赤字にならない仕組みを作ってきました」

指定野菜に昇格すれば、何かあった時の国や都道府県からの補給金(セーフティーネット)がさらに手厚くなる。

「うちが独自でやっていた保証を、今度は国が強力にバックアップしてくれるようなものです。農家さんはもっと安心して面積を拡大できるし、私たちもさらに攻めの勝負に出られます。農業を『儲かる仕事』『かっこいい仕事』にするために、しっかりと利益を出せる体制をつくっていく。今回の指定野菜への昇格は、その追い風になると思っています」

井上さんとBASE代表の志方竜也さん。二人は幼い頃からの幼馴染
筆者撮影
井上さんとBASE代表の志方竜也さん。二人は幼い頃からの幼馴染
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