高齢になっても続けられる
この支援モデルは、高齢化対策としても絶大な威力を発揮している。
通常なら中腰での収穫作業が必要なことから、体力的な限界に伴い60代で引退してしまう農家が、「彼らが収穫してくれるなら」と75歳になっても農業を続けることができるという。さらに、高齢化で引退し、空いた畑が出たとしても、周辺の農家は日々の管理を行うだけで済むため、無理なく作付面積を増やしていくことができるのだ。
もちろん、國﨑青果が代行した作業にかかる費用(収穫代など)は、パートやスポットワーカーを雇うのと同様に支払いが生じるが、それ以外の発泡スチロールや段ボール、運賃などの経費は全て同社負担で、そのあとに残る金額が先ほどの話でいう80円となる。
農家にとっては、自分たちで人材の採用を行う必要もない上に、休憩場所など気にする必要がない。その上、自分だけでやるよりも面積が増えるので、最終的な差し引き後の手元に残る金額がトータルで跳ね上がるためメリットしかない。
そして國﨑青果にとっても、農家の面積拡大によって自社が仕入れられる「ブロッコリーの絶対量」が増えることが最大の恩恵となる。市場において「他を圧倒する物量を持っている」ということは、有利な価格交渉や供給ルートの開拓において最強の武器(交渉材料)となるからだ。
機動力抜群「最強の収穫部隊」
國﨑青果の凄みは、その圧倒的な「機動力」にある。彼らは本州にとどまらず、夏場には驚くべき大移動を行うのだ。
「本州の高冷地を除いて農閑期となる夏場は、そのままでは従業員の仕事がなくなってしまいます。そこで、夏にブロッコリーが最盛期を迎える北海道へ、従業員のほとんどが移動します。北海道には、大型バスがあったり、現地で買い上げた宿舎があったりするので、みんなでシーズンは滞在しながら収穫を行います」
実は、この「北海道への大移動」は、現地の北海道農家にとってもまさに救いの神となっている。北海道の農家は広大な土地を持っているが、秋口になると玉ねぎやじゃがいも、ビートなどの収穫が一斉に重なってしまう。そのため、人手不足から「夏場はブロッコリーを作るが、秋はやらない」という農家が多いのだ。
「こちらの部隊が入ることで、北海道の農家さんは他の作物の収穫に専念しながら、11月頃までブロッコリーを作り続けることができるようになりました。うちの関わっていない産地は、人が足りなくてブロッコリーをやめてしまっているところもすくなくありません。夏場に北海道という巨大な産地を維持できているのは、この収穫支援があるからこそなんです」

