シニア層の金融資産額に見る経済力

また金融資産的な面からも重視しなければいけないのが人口ボリュームゾーンです。

金融経済教育推進機構「家計の金融行動に関する世論調査」(2025年)のデータによれば、年齢が上がっていくほどに保有金融資産の額も増えていく傾向がわかります。

【図表4】金融資産:保有額分布(金融資産非保有世帯含む)
出典=『なぜ日本人は、それを選ぶのか?』(朝日新書)

平均値で見ると、単身世帯では50代でほぼ1000万円となり、さらに世代が上がるごとに増え70代では1489万円となります。2人以上世帯でも50代で1908万円と2000万円に手が届くところまできて、60~70代では2500万円ほどにまでなります。

人数的にも多く、経済的な強さもある50~70代は、どのような商品やサービスを作り売るとしても、外せない層であるのは疑う余地はないはずです。

しかも昔に比べれば、同じ商品を買い続けるなどの意識も低くなり、その時々で自分に最適なものを選ぶことも厭わなくなっていることも予想されます。

若者だけに目を向けるのではなく、今一度最大の顧客層である、この年代の人たちをターゲットにしたり、再度理解の解像度を上げていくことは必要かもしれません。その証拠に、日本市場への進出・拡大を狙う海外メーカーは、活発に日本国内の調査・研究を行っているようです。

「推し活」やスマホにハマるシニアの素顔

今や生活に欠かせなくなってきているスマートフォンの利用率でも50~70代は数字を伸ばしています。

インテージが保有する約1万2000人の生活者のメディアの操作ログパネルデータ「i-SSP(インテージ シングルソースパネル)」によれば、月1回以上スマートフォンを利用した割合は、19年から24年の5年間で50代は11ポイント、60代では20ポイントの伸びとなっています。

70代でも数字が伸びていることは予想され、さまざまなアプリやコンテンツ、そしてCMなどのマーケティング戦略などでも、若者ほどではないとしても、一定以上の反応を得られるはずです。

そして令和の消費活動の象徴とも言える、推し活。

ここでも強さが垣間見えるデータがあります。推し活自体は若者、そして女性を中心に広がり、10~70代全体で35%と3人に1人、10代女性だと75%に推しがいるという状態です。

ただ一方で70代になっても推しのいる男女は2割程度いて、年齢的な広がりがあるのがわかります。

【図表5】推し活:推しの有無 割合
出典=『なぜ日本人は、それを選ぶのか?』(朝日新書)

そして推し活は年齢が上がるほどに、世の中の経済状況に左右されないという興味深いデータもあります。

全年齢で見ると、現在の日本を襲っている物価高・円安が推し活に全く影響しないと答えた割合は54%。しかし、これが60代になると73%、70代でも66%と数字が高くなります。

人生の後半を迎えても推せるほどの強固な思い、そして何より経済的な余裕が可能にしているのかもしれません。

【図表6】推し活:物価高との関係 意識・行動
出典=『なぜ日本人は、それを選ぶのか?』(朝日新書)