コラボで躍進と思ったが…
ときには横浜エリアだけでなく、神奈川県内の文化・歴史に関連するイベントとコラボレーションすることもある。過去に反響が大きかったのは、NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』とコラボレーションした「侍ハーバー」だ。
2022年、コロナ禍で売上半減の大打撃を受けていた頃に発売したところ、30万箱の大ヒットとなった。「完全に売上を挽回できたわけではないが、『こうすればお客様が買ってくれるのか』と従業員が理解する一つのきっかけになった」らしい。
こうした成功体験を経て、これまでにコラボレーションした相手は数知れない。横浜ゆかりのアーティストである「ゆず」や、近年横浜スタジアムでライブを開催している「日向坂46」。ほかにも、神奈川大学や江ノ島ヨットハーバーなど、コラボ先は多岐にわたる。
近年の躍進は、これらのコラボ商品によるものなのかと思いきや、実はそうではないらしい。基本的にコラボ商品は1〜2万個限定で販売するのみで、「新たな価値を提供すること」と「認知拡大」が目的なのだと言う。
「あくまでも、横浜・神奈川を訪れた人たちに喜んでほしいという想いで、製造・販売しています。コラボをきっかけに、『ハーバー』のファンになってくれたらうれしいな、と。結果として、数字は後からついてきましたね」
「我々は菓子屋ではなく、感動創造業だ」
ありあけのミッションには、「我々は、当社の事業を菓子創造業ではなく感動創造業と定義し、人生のあらゆるコトに寄り添い、幸せなトキを創ります」という一文がある。ハーバー復活イベントで喜ぶお客さんを目にした藤木会長が、「我々は菓子屋ではなく、感動創造業なのだ」という想いを強くしたことから、制定されたものだ。
「うちは別に、『でかい感動を常に生み出そう』と思ってるわけじゃないんです。日頃のささやかな感動でも、全然いいわけですよ。ただ、そうした小さな感動の積み重ねは、大きな感動につながる。だから、人間本来の感情にミートしない限りは、お菓子屋の使命ってのは果たせないと思います」
2025年、藤木さんは社長に就任する際、新たにパーパスを掲げた。それは、「なるほど!感動カンパニー」という標語だ。
「『このお菓子を発売しました』っていうだけだと、『モノ売り』で終わっちゃうんです。こちら側の気持ちだけでは、お客様に感動は伝わらない」
なぜ今、この商品を発売したのか。タイミングを逃さず、背景にあるストーリーまで届けることで、お客さんの心に「なるほど!」と感動が生まれる。この納得感があるかないかで、「ハーバー」が「ただのお菓子」として認知されるのか、それ以上の存在に格上げされるのかが変わるのだろう。


