ただ「再現」したわけじゃない
「ハーバー」復活後、積極的に改革を進める一方で、ありあけが「大切に守ってきたもの」もある。それは、「既存のファンを裏切らないこと」だ。
「ハーバー」を再び販売するにあたり、藤木会長は既存のレシピをそのまま再現することを許さなかった。その理由は、時代に合った「これぞハーバー」という味を開発するためだ。
「以前は白餡ベースだったので、もう少しほろほろした食感だったんです。皮もぺろっとめくれやすくて……。今みたいにしっとりした食感にするために、配合を調整しました。
でも、薄皮部分の改善が、なかなかうまくいかなかったんですよね。『もう手の施しようがない』と思っていたとき、一日寝かせた生地を使ってみたら、うまくいきました」
結局、完成までに半年以上もの時間を費やした。さらに、かつて「ロイヤルハーバー」として販売されていたワンランク上の商品を、スタンダードの「ハーバー」として、据え置き価格で提供することにした。
「もとの味で復活した方がいい、という声はなかったのか」と伺うと、「多少ありましたけど、会長の『この味で行くぞ!』の一声に、みんなついていった感じでしたね」と苦笑する。
「前と味が違う」という声もあったが…
迎えた復活イベントでは、その場で「ハーバー」を食べたお客さんから「前と味が違う」という声が上がったそうだ。しかし、現会長の想いを伝えると、すぐに納得してくれたと言う。
また、2024年には手頃なサイズ感の「横濱ハーバーミニ ダブルマロン」を発売。食が細くなった高齢ファンの要望や、ミニサイズを求める声に応えるため、開発した商品だった。けれど、公式キャラクター「ハーバーくん」がデザインされたパッケージや、試し買いしやすい大きさであることから、今では若年層の開拓にも一役買う商品となっている。
顧客の期待を上回りつつも、決して置き去りにはしない――。こうした誠実さが往年のファンに伝わり、製造元が変わっても「横浜土産」として認知され続けているのだろう。


