豊田章男会長の優れた経営手腕のたまもの

たとえば、トヨタは2025年11月に、139億ドル(約2兆2178億円)を投じた大型バッテリー工場を南部ノースカロライナ州のリバティ市で稼働させた。

ハイブリッド車やEV向けの蓄電池を製造し、5100人の雇用を地元にもたらすことで、米国への製造業回帰や雇用増大を目指す共和党トランプ政権を満足させるだけでなく、意識が高い民主党支持層をも満足させる内容である。

これに加え、トヨタは最大100億ドル(約1兆6000億円)の対米投資も表明している。

こうした努力が実を結び、トランプ政権の姿勢も軟化している。トランプ大統領は2025年10月に訪日した際に、米海軍横須賀基地に停泊中の米原子力空母ジョージ・ワシントンで行った演説で、米兵に向けて「トヨタを買いに行け」と促した。

トランプ氏の「宣伝」が効いたのか、その後も米国においてEVを含むトヨタ車の販売は順調だ。

米政治家との上手い付き合い方を心得た豊田章男会長の慧眼や優れた経営手腕が奏功していると言えよう。

「BYDとの戦い」にも勝利できる

なお、2026年1~3月期の米販売台数は56万9420台と前年同期比0.1%減ったのだが、これは大人気のRAV4の2026年型モデルの生産体制立ち上げが、高まる需要に追い付かず、店頭在庫が不足したためとされており、通年では堅調に増加すると思われる。

加えて、中国発の潜在的な脅威であるEV大手のBYDについては、著名な米自動車評論家のローレン・フィックス氏が3月に米自動車販売業界サイトのCBTニュースへの寄稿で、「米メディアはBYDなど中国製EVに関して、大型モニタースクリーン、ハイテクなインテリア、そして魅力的な価格など長所しか報道しない」と厳しく批判。

BYD
写真=iStock.com/Alfribeiro
「BYDとの戦い」にも勝利できる(※写真はイメージです)