石油危機でますます「トヨタ有利」
イラン戦争により、1ガロン当たり2ドル台まで下がっていた米ガソリン価格はあっという間に4ドルを超えた。このため、石油危機への不安が高まっている。これをもとに、トヨタの経営にも打撃を予想する向きもある。
後述のように目下EV販売が好調とはいえ、トヨタのラインナップの中心はハイブリッド車などのガソリン車だからだ。
ただ、この危機にもトヨタは対応できるものと思われる。なぜなら、米ブルームバーグが4月1日に伝えたように、消費者がクルマの購買基準を大きく変えるためには、ガソリン価格は半年以上も高止まりする必要があるからだ。
米自動車大手ゼネラルモーターズ(GM)のポール・ジェイコブソン最高財務責任者(CFO)も、「ガソリン3割高でも大型ピックアップは売れる」「通常、ガソリン価格の高騰が4カ月から6カ月以上続かなければ、消費者が燃費重視の車両選びを検討し始めることはない」と述べている。
さらに、石油危機が現実のものとなれば、燃費や品質に優れているだけでなく価格も安いトヨタ車への引き合いはさらに高まると見られる。また、一部消費者がガソリン車を避けてEVを求めたとしても、トヨタには魅力的なEV製品が揃い始めている。
トヨタのEV販売台数が「78.8%増」の衝撃
「EVに弱い」と評されていたトヨタの米国におけるEV販売台数が、いつの間にか大幅に伸びている。
ガチガチのEVシフト派で、トヨタに対して敵対的な論調を採ることで知られる米EVニュースサイトのエレクトレックが4月に報じたところによると、2026年1~3月期にトヨタのEV販売はスポーツユーティリティビークル(SUV)を中心に前年同期比で78.8%も伸びて、1万29台と大台に乗せた。
これに対し、米自動車大手のゼネラルモーターズ(GM)のEV販売は2026年1~3月期に2万5900台と、前年同期の3万1886台から19%も落ち込んだ。同じく米自動車大手のフォード・モーターでも、EV販売台数が6860台と前年同期から69.6%も激減している。フォードは2025年10〜12月期に111億ドル(約1兆7730億円)赤字で、昨年12月にはEV事業の見直しで195億ドル(約3兆1148億円)の特別費用を計上している。GMもEVによる損失から2025年10〜12月期決算は33億1000万ドル(約5288億円)の最終赤字だった。
一方、2026年1~3月期におけるトヨタのEV販売は、米市場における推定販売台数が前年比8%ダウンの11万7300台であった米テスラには遠く及ばないものの、GMやフォードとの比較では大いに健闘しており、EV開発に関して出遅れた、あるいはEVに熱心ではないという指摘はもはや「周回遅れ」であろう。

