男性が多く働く建設現場に飛び込んだ女性がいる。インスタグラムで「重機女子」を名乗る東香織さん(41)は清掃バイト中に窓から見たショベルカーに一目惚れし、2児のシングルマザーのまま建設業界へ転身した。なぜ東さんは建設現場で働くことを選んだのか。ライターのワダハルキさんが取材した――。(前編/全2回)
22歳で結婚し、33歳で2児のシングルマザーに
「大きい音がうるさくて、むしろうっとうしく感じていましたね。長野の田舎出身なので、重機の音に耐性がなかったんだと思います」
建設業界のインフルエンサーで、「重機女子」と呼ばれている東香織さん(41)。「kaori」という名義でInstagramで活動しており、フォロワーは2026年3月現在で1万6000人いる。重機で習字や調理を行う“スゴ技動画”で話題になった。人気テレビ番組『激レアさんを連れてきた。』への出演や、小泉進次郎氏の前での習字パフォーマンス披露など、メディアやSNSを通じて建設業の魅力を発信し続けている。
幼いころは重機の音がうるさくて嫌いだった東さんだが、なぜユンボに乗り、轟音を立てて地面を掘り返す仕事を始めたのだろうか。
自然豊かな長野県で幼少期を過ごした東さん。ただ、家庭環境は決して穏やかではなかったという。両親の仲は悪く、離婚はしないものの別居状態だった。東さん自身も幼い頃から弟と妹の世話を引き受け、高校時代に上京してからはバイトに精を出していた。
高校卒業後はラーメンチェーン店でアルバイトを始める。店長代理として、店を切り盛りしながら、22歳のときには常連だった男性と結婚し、1年目に長男を、4年目に長女を出産した。ただ、夫婦間のすれ違いもあり、結果的に東さんは33歳で離婚を決断する。
「離婚した理由はいろいろあるんですが、一番は子どものことですね。『子どもに嫌な思いをさせるぐらいなら、もう離婚しよう』と」
自分自身も、両親の仲が悪かったことで苦しい思いをした。だからこそ、自分の子どもにはそんな思いはさせたくない。そう考え、約10年の結婚生活にピリオドを打ち、東さんはシングルマザーとして生きる道を選んだ。


