エリート官僚が「バカになる」思考回路

スキーマによる苦しみから逃れるためにもっとも大切なのは、まずは「自分がどんなスキーマを持っているのか」、意識的になることです。

和田秀樹『ストレスの9割は「脳の錯覚」』(青春出版社)
和田秀樹『ストレスの9割は「脳の錯覚」』(青春出版社)

「自分はこんな決めつけをしているけど、そうとは限らないぞ。ほかの可能性も考えてみよう」

こんな風に「自分の思考グセに気づく習慣」がないと、どんなに賢い人でも、ときに信じがたいほど「バカ」な振る舞いをしてしまいます。

賢い人と言われる人が、どうしてそんなバカなことをするのか。ここにもやはり、スキーマの問題があります。

安倍政権下での財務省公文書改ざん事件においては、エリートである官僚が、あってはならない公文書の改ざんをしました。インターネットの時代にそんなことをしたら、汚名が一生残るとわかりそうなものなのに、なぜそんな悪事を働いたのでしょう。

それは「東大を出て官僚になり、課長になり局長になり、次官になることが人生の成功であり、それ以外は認めない」という、官僚の世界にまん延するスキーマのためではないでしょうか。

それ以外の生きる道を想像することができず、上から命令されるままに、悪事にいたった。その前に、そういった自分のなかの「出世第一主義」のスキーマを自覚し、「こんなことしたら一生汚名が残るし、もしバレて免職になったら再就職も難しいかもしれない」と思えていたら、あんな事件にはならなかったはずです。

スキーマの通りに生きる道しか知らず、その道から外れたら人生の落伍らくご者だと固く信じているから、融通が利きません。そのせいで、頭がいいはずのエリートが、バカなことをするはめになるのです。

精神科の患者はとても生まじめ

ちなみに、精神科にやってくる人も、そういったスキーマに縛られた人たちが多いです。世間のイメージでは、精神科の患者というと、「ちょっと変わった人たち」ではないでしょうか。

しかし現実にはその逆。変人どころか、とても生まじめな人が多いのです。「こうあるべき」というスキーマがとても強力で、まじめで、まわりの目を気にして、自分で自分を責めてしまうような人が、心を病んでやってきます。

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