脳の刷り込みから解放されるにはどうすればいいか。医師の和田秀樹さんは「『エビデンス』に基づいていても、すべて信じるべきではない。マジョリティの意見を受け入れることは個体差を軽視することになる」という――。
※本稿は、和田秀樹『ストレスの9割は「脳の錯覚」』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
エビデンスは疑ったほうがいい
「エビデンス」に基づいていれば、なんでも信じるべきなのかというと、これもまた違います。「個体差」の問題があるからです。
たとえば、教育心理学の調査で「褒めて育てると、7割の子どもの成績が上がった」ことがわかったとします。このエビデンスを踏まえれば、「子どもは、叱るより褒めて育てたほうがいい」という調査報告になります。
しかし、そこで「自分の子どもも褒めて育てるのがいい」と決めつけるのは早計です。なぜなら、その自分の子どもの場合は、「叱って成績が上がった3割の子どものタイプ」にあたるかもしれないからです。叱るべきタイプの子どもを褒めて育てたら、増長して、むしろ勉強しなくなるかもしれません。
このようにどんなことも、マジョリティ(大多数)の意見による対応と、個体差による対応とは、分けて考えなければなりません。
「タバコは体に悪い」とするエビデンスは、たくさんあります。でも、タバコによるリラックスタイムのおかげで、ストレスが軽減され、「タバコを吸ってきたから長生きできた」という人だっているはずです。
これからゲノム解析が進めば、「タバコを吸っても肺がんにならない人」や「血圧が高くても大丈夫な人」などが明らかになる可能性だって、ないとは言い切れません。

