※本稿は、和田秀樹『ストレスの9割は「脳の錯覚」』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
「負けた後の方策」を準備しておく
悪いことが起きないよう「予防」に熱心になるのが日本人は好きです。
結果として「予防してるんだから、悪いことが起きるはずがない」というスキーマが強くなります。すると実際に悪いことが起きたときの備えに頭が回らず、いざというときに大きなストレスを抱えます。
いわば「うまい負け方を知らない」のが日本人の特徴とも言えます。逆に、「うまい負け方」を知っている人は、負けたあとの方策を考えています。「次善の策」を選び、またすぐに前へ進めるのです。
私の著書には、しばしば妻が登場します。妻と私では、意見が大きく異なります。子育ての考え方も違いました。
妻は、学生時代は人気者、「勝ち組体質」で育ってきたせいか、子どもが学校で仲間外れにされているのを知ったとき、どうすればいいかわからず、パニックになりました。
いっぽう、いじめられっ子で育ってきた「負け組体質」の私は、「仲間はずれになるぐらいがちょうどいいんだ」と、落ち着いていられました。
ただし、仲間はずれのままでは辛いので、仲間はずれにならない世界を探そうと、中学の受験塾に通わせることにしました。今、上の子は弁護士として活躍し、下の子は医師になっています。私は仕事が忙しく、子どもたちに勉強を教える時間はとれませんでしたが、生き方や価値観は教えたつもりです。
過去に成功を積み重ねてきた人間ほど、負け知らずな人間ほど、自分はうまくいくのが当たり前だと思い込んでいます。受験で成功した人も、ビジネスで成功した人も、自分が一番正しいと思い込んでいます。でも、それだとうまくいかなかったとき、別の道を選べず、パニックになってしまいます。
これを避けるには、普段から「悪いことが起きたらどうするか」を考えておくことです。
「負け」が襲ってきたとき、次善の策があれば、パニックにならずに済みます。

