「落ち着いた対応を」といわれても…

今の政府に緊急事態が目前にせまっているとの危機感は本当にあるのでしょうか。

高市首相は29日になってはじめて自身のXでこの問題を取り上げ、「厚生労働省と経済産業省が連携して、サプライチェーンに関する情報を集約し、国内の医療活動が停滞しないよう、異なるサプライチェーン間での石油製品の融通支援など、安定供給を図る体制を立ち上げました」と投稿、「ただちに供給が滞ることはないですから、落ち着いた対応を」と呼びかけました。

また翌30日にもXを更新し、赤澤亮正経済産業大臣を「中東情勢に伴う重要物資安定確保担当大臣」に任命し、「重要物資の安定確保のための具体的対応方針の検討を進めてもら」うと発信しました。

しかしこれはあまりに悠長すぎる対応です。小野田紀美経済安全保障担当大臣がいるにもかかわらず、また新たに似たような担当大臣を作ったところで、少なくとも私がこれまで論じてきた具体策の提示くらいしてもらわないことには、「なにも対策していない」に等しいただの「やってる感」と言ってもいいでしょう。

たしかに国内にある完成品の在庫を融通しあうことで数日から数週間はもつかもしれませんが、先述したように医療現場では連日大量の消費がおこなわれており、患者さんの安全が第一の現場では「節約」などはできないのです。

今、問題になっているのは、その融通すべき完成品の原材料が不足することによる医療資材の枯渇なのです。

さらに「代替調達」という言葉をつかっていますが、これも簡単にいく話ではないでしょう。ナフサ価格の急騰に見られるように、すでに各国で原料や中間材の奪い合いになっている状況で、「これから探します」では間に合いません。

代替調達という淡い希望に過度に期待させるのではなく、イランとの個別の外交交渉という抜本的な解決策に、一刻も早く舵を切るべきではないでしょうか。

国会議事堂
写真=iStock.com/kanzilyou
※写真はイメージです

医師にも情報が届いていない

情報の透明性も不可欠です。公式かつオープンな記者会見ではなく、たんなるSNSへの投稿で「ただちに滞ることはない」といわれても、なんら説得力はありません。私の働く末端の医療機関にも、まだ今後の見通しをふくめた詳細情報がおりてきていません。政府としてどこまで把握しているのか、なにが問題になっているのかをリアルタイムに具体的に発信すべきです。

政府のそうした「なにも隠さない」という姿勢こそが、不安による買い占めやパニックによる物流の目づまりを起こさないために、もっとも重要なのです。

ここまで危機が多くの人たちから指摘されはじめている以上、あとで「想定外だった」「不測の事態だった」では許されません。高市政権には、この国に住むすべての人にたいして今すぐ現状を説明するとともに、一刻も早く行動をおこすことを強く強く求めたいと思います。人命がかかっているのです。

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