現場で渦巻く“医療資材枯渇”への懸念
イラン情勢の悪化による原油供給ショックが私たちの生活に影響をおよぼしています。
政府は補助金での手当てや、備蓄原油の放出などによって「エネルギー価格の抑制策」を打ち出していますが、これで私たちの生活は守られるのでしょうか。
政府からは、今後わが国にふりかかってくる危機的事態について、まだほとんど発信されていませんが、医療現場では、あのコロナ禍を超える混乱が起きかねないとの懸念が渦巻きはじめています。
コロナ禍では「マスク」や「手袋」「ガウン」といった感染症から身を守る防護グッズが、急激な需要の増加によって欠品し、ほぼすべての医療現場で大混乱が生じました。
今回は、急激な需要の増加こそありませんが、これらの防護グッズのみならず、あらゆる医療現場で毎日欠かさず大量に消費されている医療資材が欠品の危機に瀕しているのです。
注射器や輸液製剤のバッグ、点滴をつなぐカテーテル、透析患者さんの命をつなぐ透析回路……あげればキリがありませんが、医療現場における患者さんの命はこうした石油から作られる大量の樹脂製品によって支えられているといっても過言ではありません。
政府への「要望書」の中身
そしてこれらは当然のことながら「使い回し」はできませんから、すべてがディスポーザブル製品です。
需要の急増がない「平時」であっても大量に消費せざるを得ないこれらが、今回の石油ショックによって、このままでは多くの医療現場で数カ月以内に枯渇してしまうと予測されているのです。
今の政府がおこなっている「エネルギー価格の抑制策」だけでは、これらの命に直結する危機を回避することは不可能です。
しかし現時点で、政府にその危機感があるとはとうてい思えません。
医療現場からはすでに政府にたいして危機的事態に早急に対処するよう求める声があがっています。そのひとつが、全国保険医団体連合会(保団連)が3月25日に政府(内閣総理大臣および各担当大臣)へ提出した「国民のいのちと健康、地域医療を守るため 原油価格高騰に伴う医療資材の不足等への緊急対応を求めます」という要望書です。


