モラハラを反省し、家族と向き合い始める

そうして、この取材で初めて、職場で抱えていた悩みについて明かした。

奥田祥子『抱え込む男たち ケアで読み解く生きづらさの正体』(朝日新書)
奥田祥子『抱え込む男たち ケアで読み解く生きづらさの正体』(朝日新書)

「実は部次長昇進までは順調だったんですが……部長になるのはとても難しくて、結局、今も手にできていません。あと2年で役定ですので、部次長止まりが確定です。今は自分の実力不足と理解するように努めていますが、妻が一時的に家を出たのは、部長ポストを巡って争い、負けてしばらくした頃。行き過ぎた女性優遇措置で、入社年次が2年下の女性に部長の座を奪われたという思いが強かったんです。

言い訳になってしまいますが……そんな不満を一人で抱え込んでつらさがどんどん増していって……妻をストレスのはけ口にしてしまっていたのかもしれません」

取材時は、竹内さんが家を出てから半年余りが過ぎた頃だった。

「今年の春、長男が大学に入学して、長女はあと1年余りで大学受験。妻は地域の高齢者のお世話をするボランティアに精を出しています。そして私も、料理をはじめ、家事の腕を磨いています。毎週末、自宅に戻って手料理を披露していて、なかなか評判がいいんですよ。もう少しだけ別居を続け、時間をかけて、自分を見つめ直したいと思っています」

確固たる意志の表れなのか、やや遠くを見やる竹内さんの瞳は一点の濁りもなく、澄んでいた。

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