「しばらく留守にします」という妻のメモ

午前6時50分、正確な体内時計によって目覚まし時計も使わず起床すると、洗面台へと向かう。家庭内の空気にどこか違和感を抱きながらも、身支度を整えてダイニングチェアに座る、その寸前になって、ある一行のメモ書きが目に飛び込んできた。

〈いろいろ考えたいので、しばらく留守にします〉

妻からの書き置きだった。なぜ、妻が家を出ていったのか――。全く思い当たる節がない。頭が混乱しつつも、目に映るのは、妻不在を除けば、いつもの日常だ。