他者との「違い」は武器である

アニメ映画『ダンボ』では、耳が大きいというコンプレックスが、ネズミのティモシーに褒められ、やがて「空を飛ぶ」という特技に変わることで、サーカスの人気者になります。

哲学の名著『嫌われる勇気』では、カウンセラーである哲人てつじんが自らの低身長を「威圧感を与えない」と告げられたことにより、職業上の長所として活かすことになります。

「短所は裏返せば長所」とよくいわれますが、これは単なる精神論ではありません。視点を変えれば、できない部分や変わった点も立派な「褒めどころ」になり得るのです。

多様性を活かすリーダーは、他者と違う部分を「武器」として見つけ、褒めて、伸ばします(本書『できるリーダーはどこを「ほめる」のか?』の22節で詳しく解説します)。

かつての画一的な人材育成では、こうした個性は削られてしまいがちでした。「みんなと同じ」に育てることがよしとされていた時代から、今は「違いこそ力」とする時代へとシフトしています。

インクルーシブ・リーダーシップという言葉がビジネスでも注目されているように、個性を活かして輝かせるマネジメントこそが、これからの組織運営に求められる姿です。

否定する前に試みる「価値の再定義」

マネジメントの醍醐味は仕事のアサイン(割り振り)ができることです。ただ褒めるだけでなく、適した仕事を与えていくことで、自信へとつながります。

山本渉『できるリーダーはどこを「ほめる」のか? チームが自然と動き出す「戦略的ほめ方」』(朝日新聞出版)
山本渉『できるリーダーはどこを「ほめる」のか? チームが自然と動き出す「戦略的ほめ方」』(朝日新聞出版)

ある特性を欠点とせず、「この人にはこういう仕事が合うかもしれない」と想像する。そして任せてみる。うまくいったら褒める。そのループが、その人の可能性を広げていきます。

いかがでしょうか。少し理想論っぽく聞こえたでしょうか? 確かに、実際にはわたし自身も、欠点は結局欠点で終わってしまったこともたくさんあります。

それでもなお、否定する前に一度は肯定的に捉えることには、大きな意味があると感じています。

褒めることは「価値の再定義」です。その人のありのままを受け入れ、そこに眠る強みに気づき、それを言葉にする。欠点を長所に変える褒め言葉をぜひ取り入れてみてください。

ポイント➡欠点を否定するのではなく、個性として捉えることで、褒めの可能性が広がる。
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