上から目線も「圧迫褒め」も要注意
×NG「他の人と比較して褒める」
本書『できるリーダーはどこを「ほめる」のか?』の10節でお伝えしましたが、他者と比べる褒め方は注意が必要です。「先輩の佐藤くんよりも成績がいいね」と言えば、褒められた本人は気にしないかもしれませんが、比較対象となった人が知ったら不快に感じて、ハラスメントと映る可能性があります。「比較褒め」はチームの雰囲気を悪化させる要因にもなります。あくまでも個人の成長に目を向けましょう。
×NG「上から目線で褒める」
「やっと一人前になったな」「企画書の出来、悪くはないね」といった言い回しは、相手を見下している印象を与えます。上司や先輩という立場であっても、決して「自分が上で相手は下」という態度は取らないようにしましょう。リーダーやマネージャーはあくまで役割であり、相手を尊重する姿勢が重要です。
×NG「圧迫褒め」
「君は能力があるから、必ず契約を取ってこれるよね」「君は会社や上司に意見しないからえらいね」。これらは褒めている体裁を取った圧迫です。相手を追い込んでいないかに気をつけて、言葉の温度感に注意して褒めていきましょう。自分の都合のいいように相手を動かすのではなく、相手の成長につながるかどうかという基準を持つことが大切です。
NG例をたくさん並べてしまいましたが、褒めることそのものを否定する意図は決してありません。むしろ、褒めることは信頼関係を築くうえで欠かせない重要な技術です。
時代に合った正しい褒め方は、組織作りを支える強力なスキルにもなります。属性ではなく「その人らしさ」を見つめることで、多様性を重んじる今の時代に沿った、より響く承認の言葉となります。
臆することなく、自信を持って積極的に褒めコミュニケーションを取っていきましょう。
欠点の裏にある可能性を見つけて褒める
誰にでも、苦手なことやコンプレックスはあるものです。それが「欠点」と呼ばれることもありますが、見方を変えれば、欠点こそがその人の魅力であり、個性の源です。
多様性を認め合う社会では、こうした「違い」を正しく受け止め、それを活かす視点が欠かせません。リーダーならば、欠点を否定するのではなく、その裏にある可能性を見つけて褒めていきたいものです。
わたし自身にも、「欠点」が「褒め」に変わった体験があります。
小学校の図工の授業で、校舎の屋上から見た風景を描くという課題がありました。わたしは絶望的に絵が下手なのですが、眼下に見える大量の家を丁寧に描いている同級生の姿を見て、自分にはとてもできないと、すぐに断念しました。
悩んだ末、実際は存在しない巨大なマンションを画用紙の中央にドンと描きました。細かい家を描く手間を省きたくて、いわば手抜きの一手でした。
しかし、図工の先生はその下手な絵を見て、「一人だけ想像で構図を変えた。これは独創性だ」と褒めて、なんと学校代表としてコンクールに出品したのです。
その後、受賞はしなかったものの、あのときの「褒め」は今でも鮮明に記憶に残っています。自分では欠点だと思っていたことが、他者から見れば「独創性」や「想像力」として認められる。その経験が、現在のクリエイティブディレクターという職業につながる原点になっています。

