「清潔感」は、相手のためのマナー

機内は、たくさんの人が同じ空間で長い時間を過ごす場所です。服装は自由ですが、その中で自然と問われるのが「清潔感」だと感じます。

これは見た目をきれいにするというよりも、「一緒に過ごす人への配慮」に近いものです。とくに機内のように距離が近い環境では、身だしなみや香りは、自分が思っている以上に周囲に伝わります。

なかでも“ニオイ”は、自分では気づきにくいもののひとつです。自分では気にならなくても、隣の方にとってはどう感じるだろうと、一度立ち止まってみる。その小さな意識だけで、印象は大きく変わってきます。

現場でも、周囲のお客様への影響を考えて対応が必要になる場面があります。それだけ、この空間では「自分だけの問題ではない」という意識が大切なのだと感じてきました。

ほんの少しの気づかいで、その時間はぐっと過ごしやすくなります。清潔感は、そのためのシンプルで大切なマナーのひとつです。

「ありがとう」に表れる品格

機内で仕事をしていて、印象に残るのが「ありがとう」という一言です。飲み物をお渡しする、ほんの数秒のやり取りでも、言葉があるかないかで空気は変わります。

機内マナーを解説する元JALのベテランCA・香山万由理さん
撮影=大崎えりや
機内マナーを解説する元JALのベテランCA・香山万由理さん

機内は、外部から少し切り離された空間です。そのせいか、ふとした瞬間に、その人の“素の振る舞い”が出ることがあります。

もちろん、悪気があるわけではないと思います。ただ、そういう何気ない場面に、その人らしさは自然と表れるものです。言葉があると、その場が少しやわらぎます。逆に何もないと、ただのやり取りで終わります。

「ありがとう」は、特別な言葉ではありませんが、その一言に、その人の印象はきちんと表れます。