安藤氏は目下、スイーツの開発に注力しており、取材当日は試作品の試食をさせていただいた。「クリームポム ~いちご~」(590円)で、スポンジ生地に生クリームが合わせてあり、ベリーソースを自分でかけていただくスイーツだ。生地のふわふわ感と、生クリームと合う控えめな甘さ、ベリーの甘酸っぱさが引き締めて、昼下がりのおやつにちょうどよい。安藤氏によると、「手作り感を出す」のに苦労したそうだ。

開発中のスイーツ
撮影=西田香織
開発中のスイーツ

「ガラガラの時間帯」を減らす施策

安藤氏がスイーツ開発に力を入れるのも、アイドルタイムの売り上げアップが同社の目標になっているためだ。

「朝モス」や、3時以降にトリプルパティがオーダーできるなど、時間帯によってメニューに変化をつけたことも、この目標に向けた施策の一つ。

これらが奏功し、ランチ以外の時間の客が増え、時間帯別売り上げが平準化しつつあることも、業績アップにつながっているという。

モスフードサービス取締役上席執行役員・商品本部長の安藤芳徳氏
撮影=西田香織

上記のように、同社の商品開発の一番の目標はユニークユーザー数を増やすこと。つまり新規客の開拓だ。モスバーガーやテリヤキバーガーをトップから蹴落とす勢いで、従来にない商品の開発を目指してきた。実際、モスバーガーやテリヤキバーガーの売り上げ構成比に影響を及ぼしたこともあるという。

ヒットにしがみつかず、その都度、細やかなターゲット層を設定し、特徴ある商品を生み出していくこと。この姿勢が、近年のモスバーガーの業績アップにつながってきたのだ。

店舗での「包丁で野菜の仕込み」はモスだけ

ただ、モスだからこそ可能になったことも多い。

例えばブランドイメージとして根付いている、野菜へのこだわりだ。全国の契約農家から仕入れた、いわゆる「顔の見える」野菜を仕入れている。

また店舗における包丁を使っての野菜の仕込み、熟練を要するバーガーのビルドアップ(バンズや具材を組み合わせること)なども、モスバーガーが昔から続けてきたからこそ、今も当たり前のように行われている。オペレーションの効率を考えれば、他のチェーンではなかなかできないことだ。

組み立てに技術を要するモスバーガー
撮影=西田香織
組み立てに技術を要するモスバーガー

野菜をしっかり使い、店舗での手間暇をかけた商品作りがブランド価値につながり、原価の高さも相まって、見る目のある消費者に「コスパが良い」と感じさせる結果になっているのではないだろうか。

【関連記事】
「マックよりちょっと高い」は昔の話…「原価52%」モスバーガーの限定商品が30~40代主婦を納得させたワケ
トヨタでもサントリーでもない…ハーバード大学経営大学院が教材にする従業員850人の日本の同族経営企業
だから日本人の「百貨店離れ」が進んでいる…三越伊勢丹HD元社長がルイ・ヴィトンを絶対に入れなかった理由
「出光は社員を1人もクビにしない」経営難でも1000人以上を雇い続けた出光佐三の不動の"経営哲学"
手作り弁当550円、おにぎりは今でも110円…セブン、ローソンがマネできない吉祥寺「個人コンビニ」の地味な戦略