結果として、「モスが嫌いな人」を新規客層として取り込むことができた。つまり、「好調の条件」の2に当たる、ユニークユーザー数の増加に繋がったわけだ。そしてモス好きな人にとっての新たな来店動機になり、3のリピート率も上がった、と推測できる。

客の「おいしいけど食べにくい」を解決する

そのほか、安藤氏が開発において重視しているのが「リレーショナルフーズ」だ。

客とつながり、寄せられる指摘や課題を解決する方法を明確に提案することが大事だという。

その例として、2022年に初めて発売し、シリーズで950万食売り上げている「月見フォカッチャ」が挙げられる。

「月見フォカッチャ」
撮影=西田香織
「月見フォカッチャ」

「フォッカッチャは元は2000年から14年間販売されていた商品。フォッカッチャから具材がこぼれてしまうため、『おいしいけど食べにくい』との指摘が多く、以後は商品化されていなかった。月見として復活させるに当たり、フォッカッチャの形状を瓢箪型にし、マチを設けて具材を包み込むようにしたことで、食べやすくした」

もっとも苦労するのは「食材調達」

このように数々のヒット商品を開発してきた安藤氏。開発の苦労話を聞いたところ、食材調達、との答えだった。

例えば、契約年数によって扱える素材が変わるアボカドもその一つ。また、月見フォカッチャに使用している卵はビタミンやカルシウムなどを多く含む「加工卵」で、特別な食材。

「仕入れ先には年間計画で量を指定して契約する。売れるかわからないのに、仕入れる量を決めなければならないというプレッシャーがある」

アボカドバーガーに続くヒットを生み出していくための、次なる戦略はどのようなものだろうか。

一つにはターゲット設定をより進化させた「1on1のマーケティング戦略」を展開しているそうだ。例えば客層や客の好みについても、従来のレシートアンケートに加えて、今はポイント会社から得られるデータからも分析を行うことができる。仮説の精度が上がり、ヒットの確率も高くなっているのだそうだ。

そのため、ビジネスパーソン、女性、勤めている地域など、絞り込んだターゲット設定で商品開発を進めているという。

またこれと併せ、「逆ABC分析」の考え方で次々に新しいものを生み出すことが重要だという。

ヒット商品の売れている理由として、もっとも高いAをメニューに残し、次の商品開発に活かすのが「ABC分析」だ。しかし「逆ABC分析」ではその反対に、Aから削っていく。ユニークユーザー数を増やすための方策だ。

「とくに、改廃が早いドリンクやスイーツなどのカフェメニューはこのやり方で開発していく」