最重視するのが「ターゲットの設定と仮説」
そうした積み重ねの末に生まれたのが、470万食を売り上げたアボカドバーガーだ。第1回でも解説の通り、品質と価格のバランスの良さ、とくに、財布の紐がもっともかたい30〜40代のママというターゲット層に刺さったことが、ヒットの理由となった。
商品開発において、安藤氏がもっとも重視するのが「ターゲットの設定と仮説」だという。
「アボカドバーガーでは、わざと極端な仮説を立てた。ターゲット設定がふわっとしていると、もし売れたとしてもなぜ売れたのかわからない。再現性がない。そして狙ったターゲットにしっかり刺さっていることが大事で、そのときに売れなくても、売り上げは後からついてくる」
ターゲット設定がしっかりしていると、ある意味、特徴的な尖った商品として開発が進んでいく。逆に、「誰にでも好かれること」を目指してしまうと、つまらない商品になる。
「だからいい商品というのは、リスクを取らないと生まれない」
「モスらしさ」を取り除いて設計した商品
アボカドバーガーでは、具体的には年に1回も来店しない「モスを嫌いな人」を想定し、モスを嫌う理由を検討した。結果として上がってきたのが以下の特徴だ。
1)値段が高い
2)パティとバンズ、野菜の具材などの大きさのバランスが悪い
3)ソースが多く、べちゃべちゃになって食べにくい
「1は別として、2や3に関しては、裏返せばモスが好きな人がモスを好きな理由でもある。そこを変えないと、客層を広げることはできない」
確かに、モスバーガーや人気の高いスパイシーモスチーズバーガーなどは輪切りのトマトが入っているほか、ソースも刻んだ玉ねぎ入りと、具材がたっぷり。モス好きにとってはそれが贅沢に感じられる。しかし反面、食べにくく、口の周りがベタベタになったり、噛み付いたときに具材とバンズがズレてこぼれてしまったり、ということもある。
慣れればうまく食べられるようになるものの、慣れる前に嫌いになってしまう人もいるかもしれない。
最新のアボカドバーガーでは、それらのいわば「モスらしさ」を取り除いて設計。値段をこれまでより200円下げたほか、前年よりもパティを小さめにして食べやすくし、マヨネーズベースのシンプルなソースを組み合わせた。
アボカドを使ったバーガーとしては3つ目の商品で、3年間の検討期間があったことや、2つの商品で客の反応を測ったため、よりターゲットの好みに合わせた商品設計を行うことができたのも大きかった。
