「誰かがやるべきだが、自分ではない」

積極的に「なりたい」と答えた学生は、わずか11%。対照的に、「なりたいと思わない」「まったく思わない」と答えた学生は、合わせて53%と過半数に達したのです。「できれば、なりたくない」と回答した学生も36%いました。

この数字は、まさに彼らの価値観を象徴しています。「誰かがリーダーをやるべきだ。でも、それは自分ではない」という静かな、しかしはっきりとした意志が見て取れます。

一見すると矛盾した答えの背景には、世代間の価値観の大きな変化があります。

今のリーダー層の多くが若者だった頃、仕事のモチベーションは「自己実現」でした。「仕事を通して夢を叶えたい」「自分の存在意義を見出したい」という思いが、大きな原動力でした。この世代を、勝手ながら「自己実現世代」と名づけましょう。

手を積み重ねる若いグループ
写真=iStock.com/Nicolas Micolani
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自己実現世代から他者貢献世代へ

一方で、現代の若者たちのキーワードは、「他者貢献」。自分のためというよりは、「人のため、世のため、地球のため」といった大義に強く揺さぶられます。ボランティア活動や社会貢献活動を積極的に行う事実に、彼らの価値観が色濃く表れています。たとえそれが、就職活動のための「ガクチカ(学生時代に力を入れたこと)」づくりという側面を持っていたとしても。

ですから、「他者貢献世代」という視点を持って若手を見ると、彼らのリーダーに対する複雑な気持ちが、少し理解できるかもしれません。

ベストセラーにもなった金沢大学教授・金間大介先生の著書『先生、どうか皆の前でほめないで下さい―いい子症候群の若者たち―』(東洋経済新報社)でも触れられているように、「自己実現」は、彼らにとっては少し気恥ずかしい行為に映るようです。

「私がリーダーになる!」と自ら手を挙げることは、「自己実現」を目指す行為であり、彼らにとっては気恥ずかしい行為である。そのため、自ら立候補することはありません。

しかし、「あなたがリーダーになってくれたら、みんなが助かる」と、他者から推薦されれば話は別。リーダーになることが、すなわち「他者貢献」になるので、「私でよければ」とリーダーの役割を静かに引き受けるのです。そして、心の中では、リーダーの役割を全うできる自信も、少なからず持っているはずです。

調査で「(リーダーに)なりたいと少し思う」と答えた層が36%いることは、非常に重要なポイントです。彼らこそ、「自分からは手を挙げないけれど、他者貢献のためにと頼まれれば引き受ける」という新しいリーダーの姿を、最も象徴している層なのです。