地場スーパーとタッグを組む
しかしイオンも、これだけでダイエーが競争に勝てるとは思っていない。もうひとつ、大阪で誕生した「ダイエーっぽくないダイエー」が大成功を収めており、この業態を足掛かりに、関西で勝負を賭けるようだ。
先に述べたとおり、2026年3月からの「株式会社ダイエー」に、おなじくイオン系列に地場スーパー「KOHYO」(以下:「コーヨー」)を展開する「株式会社光洋」が合流する。
2025年3月にリニューアルオープンしたばかりの「ダイエーグルメシティ住道店」は、ベーカリーや加工品をダイエーが受け持ちつつ、肉や鮮魚などのコーナーをコーヨーが供給するという、2社がタッグを組んだハイブリッド店舗だ。
「コーヨー」は首都圏ではなじみがないが、関西では「♪コーヨー、コーヨー、行こうよー」というCMソングでお馴染みであり、地場スーパーとして大阪府内に約40店舗を展開している。
そんなコーヨーはダイエー内へのテナント入居が発祥であり、鮮魚やブランド肉の販売に強みを持つ。特に、鹿児島産の黒毛和牛にかけてはローカルチェーンとは思えないこだわりがあり、売場には「イチボステーキ」など希少部位のステーキ肉が数十パックも並ぶなど、黒毛和牛への並々ならぬ愛情と自信を感じさせてくれるような売り場づくりだ。
では、「ダイエーグルメシティ住道店」は普通のダイエーとどう違うのか?
精肉売り場では、ダイエーの象徴である「さつま姫牛」ではなく、コーヨーの鹿児島産・黒毛和牛が並ぶ。鮮魚売り場に並ぶ寿司も、コーヨーのブランド「鮨屋の寿司」が多量展示されており、艶々のトロ握りに魅せられた買い物客は、次々とパッケージを手に取ってレジに向かう。
一方で、ダイエーが受け持つベーカリーコーナーには、焼き立てのピザや香ばしい菓子パンがズラリと並び、補充されたそばから売れていく。それにしても、住道店の店内は改装前より格段に明るく、ダイエーと思えないほど開放的だ。
関西ではまだ“伸びしろ”がある
この店はリニューアル後の売り上げが前年より35%も伸びたといい「爆発的な大成功」と言ってよい。各ブランドの強みを活かし、普段使いスーパーの基本である「お値打ち感」「新鮮さ」をコーナーごとに徹底したのが、支持された理由の1つと筆者は感じた。ダイエーはこの「住道スタイル」を関西に展開することで、ふたたび関西で覇権を握ろうとしているのだ。
もちろんダイエーがイオン系列であることに変わりはなく、イオンにとってもグループの”伸びしろ”の一角であることに変わりはない。
もっとも、このスタイルが関西各地で受け入れられるかは未知数だ。もし失敗すれば、ふたたび「『イオン』に統一して出店する戦略」に回帰し、ダイエー復活の道は絶たれてしまうだろう。関西への集中を選択したダイエーが、どこまで戦えるか?
買い物の嗜好が多様過ぎる関西にカスタマイズするのであれば、先述の「住道スタイル」や、三宮店で好評の「ワインバル・ジュースバー併設スタイル」など、もっと自由で多様な「勝ち筋店舗」フォーマットを、何種類も作ることが必要となるだろう。
今こそ、創業者・中内㓛氏の信条「ネアカ・のびのび・へこたれず」を思い出しつつ、新生・ダイエーとして、その実力を見せつけてほしいものだ。




