飛行中は慣性航法とGPSを組み合わせて誘導し、目標に接近する終末段階ではKa帯AESAシーカーと呼ばれる高性能レーダーで精密に捕捉して着弾させる。機体はステルス性を高めた設計で、敵のレーダーに探知されにくい。南西諸島などに発射機を分散配置すれば、東シナ海の広い範囲をカバーできるようになる、と同メディアはみる。

サウスチャイナ・モーニングポストは、日本が台湾から約110キロほどしか離れていない与那国島に中距離ミサイルを配備する計画を発表した、と報道。ナジー教授は、射程約200キロの旧型12式ミサイルを与那国島に配備する計画を「ゲームチェンジャー」と評価した。

「南西諸島の12式ミサイルは日本領土を守るためのもの。たまたま中国海軍の作戦を難しくするだけだ」と同氏は述べ、専守防衛に徹する日本の姿勢を強調。「日本は侵略するのが極めて難しい国であり続ける。だからこそ、脆弱な地域にこうしたシステムが配備されている」と語った。

03式中距離地対空誘導弾 高射学校・中SAM射撃
03式中距離地対空誘導弾・中SAM射撃(写真=陸上自衛隊/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

日本の「反撃帯」が中国を牽制している

もっとも、こうした日本の反撃能力には厳しい制約がある。

シンクタンクの国際危機グループは、2022年の国家安全保障戦略において、「武力攻撃が発生していない段階で先に攻撃する先制攻撃は、言うまでもなく許されない」と明記されていると指摘している。

裏を返せば、高市首相が台湾有事に言及した際、中国が激しく反発した理由はここにある。台湾への圧力を強めたい中国にとって、台湾の危機で日本が「存立危機事態」宣言するようなことがあっては困る。人民解放軍の痛いところを突く日本の防衛システムだからこそ、台湾には是が非でも加勢してくれるな、というわけだ。

アーミー・レコグニションは、日本の戦略が中国人民解放軍の作戦計画にとって、深刻な制約になり得ると分析する。従来、中国海軍は宮古海峡やバシー海峡を経てフィリピン海へ進出することを前提に、戦略を組み立ててきた。だが今や、こうした海峡を通過するならば、日本の潜水艦による待ち伏せ攻撃のリスクと隣り合わせだ。

中国の国営メディアやシンクタンクの分析者たちは、たいげい級、12式改良型、トマホーク、そして与那国島の03式中距離地対空誘導弾が一体となることで、第一列島線が「連続的な反撃帯」へと変わりつつある、と焦りを強めている。この構図は、台湾をめぐる有事で中国が「主導権を握る」という従来の前提を根底から揺るがすものだ、と同誌はみる。

中国は台湾海峡で積極的に演習を行うなど、台湾への圧力を強めると共に、国際社会に対し海洋上での軍事活動の既成事実を作っている。武力による威圧をちらつかせる中国に対し、日本の対応が適切な圧力として機能しているとの国際的評価が目立つ。

(初公開日:2026年1月23日)

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